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今晩は。
永い夏日のひとごとのよう チビリチビリと酒がぬくうなる 壁のしろさの小蜘蛛はどこから 海まで来て懐中たばこがない 青く刈り上げてざらざら 昼の酔いつぶれのラストワルツよ 夏のはだかのひるめしにする これはあきらめの笑いこぼれて来る 兄妹そろって水を呑み暮れてる 日暮れいとしく時計に目をやる となりは子が生れた話の煙草をくわえる はだけた袖から花の画がのぞける 雨が上がった晴れ空のぬかるみ つめたき水瓶もて病人然とし ふと母さえ出てくる炎天である だらしなく水の一滴を乞う 湯を浴びる一日を洗い流す 水を酒に代えて来て眠るによし 用事あり来て妹は含羞む 白い帳のふくらみは夕風 帯を栞にして夕空を見る ふいと小箱のオルゴール鳴らし白痴じみて来る 病人然としあかるい水を汲む 菊の一厘ありほんに仏間めく いかに生くべきかと壁の一日 蕪菜の茎さえ母は夜食にする 拭えぬ水沫はピリオドだったか 黒鍵に肘突きをり生い先あぐねる ふたたび無職の灰が小高くある 犬喰いせし父を残しあにいもうと かわいい愚妹よ嘘をせがんで来る
..2016/06/30(木) 20:42 No.625
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