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はや三月ですね。
もうすぐ春の燦々と草もゆ 漣一つの灯を泛せたる 我が物音なく雨俄かにふる 人が死ぬ映画の身につまされる 雑踏はたと凪がれジャズ洩れ来る 冬の水しんみり漱ぎいる 白い花咲かせ灯のしずかさ 小鳥淋しや昏れている 風吹く香の匂い もやの中火を吹く塔ある 冬日仄めく音楽といる 白翅へたりと死んでいる 水音淋しく暗の中なる 漣さゞなみ冬日仄かなる 遠く帆のふれ心ほつれる ある日は人恋しさのわが頬にふれ たった一つの灯を消し心ぐれて来る
(添削自句拾選) 春花どこで死んでをるやら 灯り乏しくぼそぼそ喰らい 消しそびれた水音聞いている こんな淋しい傷をみずから撫でてやる 心労吹き抜けて青風 死ねそうな池の大いさ 雨の座敷で父と子といる 夏の名残を灰皿としている 袖のぬくもり冬が来ている 春の夜こんなしずかにとしをとるのか 生きるつとめの汗をすべらす
..2017/02/28(火) 20:42 No.717
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