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露けくも瓜の花 湯気をしみじみ冬よおいでなすつた いまだ幼子のごとく愛されてふるさと 老い耄れて舟よ渚にてしづか 旅の熾火をくれる はやる心の一服落ちつかせる やうやく旅の一息ついてゐる 歩くほかない侘しさ歩きつめる なるべくしかならない旅の草もゆ 湯を浴びしたしく話し込んでゐる また一つ恥かいて今日も昏れとる 死ねば楽になる体拭いてやる つましい生活があつて電車立つてゐる よぞらのとほくで吠えてゐる 夢の余韻ふくふく一服終へてゐる 風にぎやかにへうへうと海晴れる 枝の葉みんな喰はれてゐる 冬のベンチのいなくなつてる ぬくさうな灯が夕べ置かれてゐる 窓へ帳の一風吹いた 止め処なく水音遠くなる
..2017/12/07(木) 14:33 No.750
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