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▼  「唐版 風の又三郎」終幕
takkin     ++ ..2019/03/15(金) 22:10 [582]
 
13日に大千秋楽を迎え、1ヶ月と少しの公演が終わりましたね。
私は今回、コクーンで2回、ピロティホールで2回の計4公演を観ることができました。
唐作品はストーリーを楽しむタイプの作品ではないので、最後は飽きるのでは?と思っていましたがとんでもなかったです。
どの場面も何度見ても面白く、飽きるヒマなどありませんでした。
詩的な台詞の数々から溢れ出るイメージの波。その波が洪水のように押し寄せるものだから一度で咀嚼できるワケもなく、そのぶん見るたびに発見があり、胸に響く言葉が増えていきました。
決して小難しい芸術作品ではなく、猥雑で泥臭い昭和の匂い。そこに元宝塚のトップスターと若手のスター俳優を主役にもってきたことで、唐作品の根底にあるリリカルさが際立って、アングラの匂いを残しつつも誰にでも受け入れやすいエンタテインメントになったのだと思います。
最初は宝塚調が気になり優等生すぎるように感じた柚希さんですが、大阪公演では優しさとワイルドさの両面をきめ細かに演じておられ、情念をも感じさせてくれて感動しました。
そして窪田さん、台詞が明瞭にまっすぐ届く。まずそれが素晴らしいと思いました。持ち前の繊細さと危うさが役と絶妙にマッチしていましたし、気負いなく舞台に立っているように見えるその佇まいが、非常に舞台向きだと思いました。(何か偉そうな言い方に感じたらごめんなさい)
そして風間さん!余裕で舞台を楽しんでる姿がチャーミングすぎます。
あんなこともこんなことも、たぶんノリノリで、演出の金さんや六平さんたちとアイデアを出し合って面白がりながら作っていったのではないでしょうか。
でも、締める場面はきちんと締め、見せ場では気迫でその場の空気を支配する。ホントにカッコ良すぎて痺れました。
公演の後半ぐらいから、アドリブの場面で毎回「スチュワーデス物語」と堀ちえみさんネタを入れていたようですが、最初にそのネタをやったのが、ちえみさんの手術が無事に成功したという報道があった直後だったと思います。風間さんなりのエールに思えて、その場面では温かい気持ちになりました。(長くなるのでいったん切ります)

[583] Re:「唐版 風の又三郎」終幕
takkin     ++ ..2019/03/15(金) 23:23
 

唐作品を観るのはたぶん今回で5回目。その他に戯曲だけ読んだのもあります。
いつも難解だと感じますが、私が今まで観た中では今回が一番取っつきやすいと感じました。。
少年少女や平凡な主人公が何かのきっかけで不思議な世界に巻き込まれる話は冒険ものの定番ですし、ラストには感情が浄化されるようなカタルシスがありました。
わからないことは沢山あります。でも、台詞のひとつひとつが観るものの想像力を掻き立て、観た人それぞれが自分なりのドラマを作り上げていくことの出来るお芝居だと思いました。
飛行機、戦争、空襲、飢饉、etc. 日本の悲しい記憶を思い起こさせる描写が登場します。
奇しくも3月10日は東京大空襲、11日は東北を襲った東日本大震災、13日は大阪大空襲。一瞬にして失われたたくさんの命を弔う追悼の鐘のようなお芝居にも思えました。
シリアスなだけではなく笑える場面が多いですし、アドリブなど自由に演じる中で役者さんの素が垣間見える瞬間もあり、サービス精神にあふれた楽しい作品でしたが、全体を貫いているのは異端への共感、マッチョな男性性への反発でしょうか。
あの世とこの世の境目、月光町。帝国探偵社は冥府の入口。聖橋すれすれに飛ぶ飛行機。陥没して行くニコライ堂。怖いけど触れてみたい、そんな魅力的な世界が、確かに劇場の中に存在していました。

東京に行った際、時間があったので聖橋とニコライ堂に寄って、しばしお芝居で語られた情景を現場で思い浮かべてみたりしました。
東京の方には言うまでもないことだと思いますが、お茶ノ水には神田明神もあります。
神田明神にも立ち寄り、超絶美しかった風間さんの銭形平次を思い出しながら、開運を祈ってきました(^ ^)

[584] すみません、まだ続きます
takkin     ++ ..2019/03/16(土) 00:19
 

11日の公演中に窪田さんが足を痛め、12日と13日は車椅子での出演となったことは報道でご覧になったと思います。
車椅子での公演継続は前代未聞では?「ほー、そうきたか」とその柔軟な姿勢に感心したものの、実際そんな簡単なことではなく、演じる側もスタッフも大変な決断だったと思います。
でも、大千秋楽を拝見して、これは奇跡的なアクシデントだったのでは?とさえ思ってしまいました。
車椅子で演じることが出来る条件が揃っていたこともラッキーなら、作品世界を壊すどころか結果的にテーマがくっきりと印象付けられることになったのも凄いと思いました。
健全な精神も健康な肉体美も男らしさも持ち合わせておらず、抑圧されて生きてきた青年の魂が解放される場面の美しさ。
自力で上がれないので、風のコロス役の人に支えられて飛行機に乗り込むのですが、風に誘われているようにも、天使に迎えられているようにも見え、ドラマチックさが増していたと思います。
健康であることは素晴らしいけれど、その健康志向や健全さが力を持ちすぎる世の中は生きづらい。何だか初演の頃より今の方がそうなってるんじゃ?なんて思ったりもしました。
アクシデントは無い方がいいに決まっているし、ご本人も悔しいとは思いますが、怪我の功名というのか、プラスに働いた珍しい例ですね。
でもやはり、怪我をする前の舞台が本来の姿だと思うし、どの日が一番良かったか?と聞かれたら大阪公演の初日かな。
座席の位置や自分のコンディションも大きく関係してきますが、私が観た4回の中では一番皆さん自由にイキイキと動いているように感じました。アングラ感も一番感じましたし。

[585] 舞台挨拶
takkin     ++ ..2019/03/16(土) 00:31
 

毎回カーテンコールが凄くて、スタンディングオベーション当たり前な雰囲気でした。
その中でもやはり大千秋楽は特別でしたね。
主演のお二人の挨拶がありましたが、窪田さんの挨拶の最中、みなさん涙目に…風間さんも感極まって必死で涙を堪えているように見えました。
なんだか優しいお父さんのような目で主役のお二人を見つめていたのが印象的で、そんな風間さんの姿を見ることが出来たことも幸せでした。
本当に最後の2日間は大変だったのでしょうね。それによってカンパニーの結束力が高まってきっと特別な作品になったのでは?と思います。
柚希さんのインスタグラムにスタッフ、キャストの集合写真がアップされています。皆さんとてもいいお顔で写っておられますので、ぜひ検索してご覧ください。



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