|
常々思っていたことだが、他人の介護や相続・終活については話をしても、自分の事はまだ大丈夫だと思っている人が多い。無料相談でも、うちは財産がないから・・とか、遺言書を書くにはまだ早い・・などという70代、80代の高齢者が多い。確かに体が丈夫な高齢者が多く、今は元気そうである。遺言書は常に書き直して良いわけだし、最新のものが効力を発する。毎年書いて、書き直しをお勧めしたい。 そこで、何故、人は自分はまだ大丈夫だからというのだろうと調べてみると、「正常性バイアス」という言葉に出っくわした。社会心理学、災害心理学での用語で、医学用語としても使われている。私自身、血液のがんになって、治療が好転してくると余命5〜6年と言っても10年ぐらいに伸びるのではないだろうか?いや完治するのではないか?と都合の良い方向に考えていく自分を見つけてしまう。 東日本大震災の時もここは大丈夫、私は死ぬことはないと思い込んで多くの人が被害にあった。そんなことももう忘れようとしている。人の頭脳には自分にとって都合の悪い情報、ストレスを回避するために、人間が予期しない事態に直面した時に、「それはあり得ない」という先入観や偏見が働き、物事を正常の範囲だと自動的に認識する心の働きを行うという事である。つまり人間の脳の防御作用を「正常性バイアス」と呼んでいるそうである。 しかし、一回しかない人生で、次の世代に引き継ぐ作業に禍根は残したくない。早めの準備をしたいものである。私は今の自分の立場からも思う。人は必ずし死を迎え、これを回避できた人は歴史上で誰も過去にいない。だから死をゴールとして、逆算して自己責任を果たさねばならないと。そのために大事なことは、私の母も施設に入ってすべては私に任せると言う。家にはまだ亡くなった父ものも、そして祖父が建てた家が空き家となっている。もっと早く取り組むべきだったよね「母さん」と。そして亡くなった父にも、今会う事ができるならしっかりとそう伝えたい。
|