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・・ずっと仕事で使ってきたギターがなんだか変。 ASTURIAS D・Customというオール単板(合板部分がない)の ギターなんだけど、こいつはとにかく音が大きくって、 モニターの返しがなくてもいいくらい。 でもなんだか最近音が変。 で、いろいろと観察してみると、 ナンダナンダ、あちこちに不具合があるではないか! 表板が1cm近くも膨らんでいる。弦はいつも緩めてたのになあ・・。 裏板のブレーシングが3カ所も浮いている、フレット浮きがある、ブリッジが 前方に傾いている、サドルがすり減って3弦だけ低い、などなど。
ずっと使っていると、本当の姿が見えなくなっていたりするんだねえと、感心と反省しきり。 弦楽器におけるボディの変形は不治の病とされているが、なんだかんだで15年も 木工でメシ食ってきた(食えてきたのは最近)。 曲げたり伸ばしたりの変化球工事もそれなりに経験があるので、エイヤっと現状復帰工事に挑んだ。
・・やれば出来るもんだ。一部塗装が熱変色したけど、元の形状に復元。 それから各部を調整して弦を張り、弾いてみると、OOOOOOOOOOオオオオオ!! これやーこれやないかー、俺んとこへ来た時の感動は!
たった0.1mmの高さ調整で、ギターって誰でも分かるくらい音や弾き具合が違うんね。 今更目からピック(うろこ)。
木工で毎日使っているカンナも、一見ただの木と刃だけで単純のように見えるが、 30cmくらいのカンナの中に20カ所ほどの調整ポイントがあり、髪の毛1本分の精度で そのそれぞれを調整しないと機能しないから、ギターとカンナって、よく似てるなあ。
追伸(ギター好きのみ読んでね) 今回、木工屋的に分かった事がある。 ASTURIAS D・Customは、表板が2mmと薄いのに加えて、かなりスキャロップしているから 本当に良く鳴るけど、強度的には少し無理があると思う。 また戻るようだったらブレーシング(力木)を追加したほうがいいかも。
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