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東京圏では、深夜2時を過ぎると、最終列車(終電)を気にする人が増えますが、そのときは指令員が列車の接続の調整をしています。この調整は、輸送指令だけでなく、営業運輸指令も関わっています。終電の時間が近づくと、営業運輸指令が輸送指令や駅、他社線と連絡をとり合い、列車の接続調整が必要かを判断し、接続駅での発車時刻などを決めます。
輸送指令は、営業運輸指令が決めた発車時刻などの情報を関係する駅員や乗務員に伝えます。営業運輸指令は通常、高台にいますが、列車が大幅に遅れ、発車時刻の大きな変更が必要になると、関係する線区の輸送指令の近くに行きます。
たとえば上野駅では、23時40分前後に3方面の中距離最終列車(宇都宮線宇都宮行き・高崎線高崎行き・常磐線土浦行き)が発車しますが、このとき山手線や京浜東北線が遅れていると、乗り継ぎを考慮して発車時刻を後ろにずらすことがあります。その調整を、指令室が駅と連携して行なっているのです。
我々利用者から見ると、指令員のように列車の運行管理をする人は、終電のあとに「今日も一日終わった」とホッとするように思えますが、必ずしもそうではありません。むしろ緊張をすることがあるそうです。東京圏では、E電線区などの多くの線区で0時をすぎても列車が走るが、1時半前にはほとんどの線区で営業運転が終わります。
輸送指令はここでひとまず落ち着くのですが、その後に夜間工事のために架線への送電を停めるための準備を行なうので、緊張感に包まれるといいます。送電を停める前に連絡ミスがあり誤った電気の停め方をすると、場合によっては、作業員の死傷事故につながるからです。まず、終電が終着駅に到着し、車庫などに移動します。
そこで電車がパンタグラフを下げると、車庫などの現場から輸送指令に報告があります。輸送指令は電力指令に報告し、電力指令が架線への送電を停めます。これらの連絡ミスを防ぐため、復唱したり、名前が似ていて間違えやすい言葉は言い回しを工夫しています。数年前の指令員は、この連絡をするときにピリピリしていたといいます。
なお、現在はこれらの連絡がほとんどシステム化され、報告などが簡素化されたそうです。始発前も、指令員が緊張する作業があります。E電線区などの多くの線区では、始発は4時半以降だが、その30分以上前から、輸送指令の指令員はATOSなどのシステムに異常がないか確認します。
また、夜間の工事作業が無事終了しているかを確認し、異常がなく、安全が確認できれば、始発を走らせます。ただし、夜間の工事作業が時間内に終わらず始発の運転に支障があったり、安全が確認できない場合は、運転を見合わせます。こうした運転開始のための連絡が、終電後と同様に緊張するそうです。
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