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夏は「尿酸値」が上がりやすい季節です。発汗などによって体内が脱水気味になり、血中濃度が上がるためです。冷えたビールがおいしいこともあって、尿酸値を気にされている方も多いのではないでしょうか。
尿酸というのは体内でプリン体が分解されてできた老廃物で、ビタミンCを上回る強い抗酸化作用があり、酸化ストレスから組織を守る有益な作用を持つといわれています。しかし、血中濃度が「7」を超えると結晶になり、その結晶が関節などにたまって激痛を引き起こします。これが「痛風」です。
日本痛風・核酸代謝学会では、尿酸値が7.0m/lを超えている場合は、「高尿酸血症」としています。しかし、そのすべてが痛風発作を起こすわけではありません。発作は起こっていないものの、尿酸値が高い人もたくさんいます。
日本では、痛風患者が約100万人、その予備軍ともいえる無症候性高尿酸血症は500万人いるともいわれています。私も20年ほど前、腎臓結石からの尿管結石で初めて激痛発作を経験しました。血液検査で尿酸値が高いことはわかっていたのです。
10年前には、通風を経験して以来、ビールをやめました。そのおかげもあり、現在は、なんとなく通風をコントロールできているような感じです。だが、中高年の高尿酸血症で注意しなければならないのは、痛風や結石だけではないのです。
心血管疾患の発症と大きく関係しているという報告が欧米に数多くあるうえ、高尿酸血症の人の死亡原因の第一位は、心筋梗塞などの心血管疾患というデータもあります。もともと尿酸値が高い人は、高血圧、肥満、脂質異常症、糖尿病などを合併しているケースが多く、それが心血管疾患が増える大きな要因だと考えられています。
いずれも、動脈硬化を促進させる大きなリスク因子で、動脈硬化は心筋梗塞、狭心症、弁膜症、大動脈瘤などの心臓病を引き起こす要因になります。高血圧学会では、「日本人は尿酸値が1上昇するごとに、男性で18%、女性で25%が高血圧を合併しやすい」という発表もありました。
男性は「7.5以上」、女性では「6.3以上」の場合、高血圧を合併する患者の心血管疾患の発症が増えるという報告もあります。やはり、尿酸値が高いまま放置しておくのはリスクも高いと考えていいでしょう。また、合併だけでなく、高尿酸血症は心血管疾患の独立した危険因子であるという報告もあります。
はっきりしたメカニズムはまだ解明されていませんが、尿酸が基準値を超える状態が続くと、血管の細胞が尿酸を取り込んで血管の壁が厚くなり、血液の通り道が塞がれ、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まるのはと考えられているのです。ちなみに私は瞬間的に上がるので通風の薬は処方されていないのです。
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