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私の周りには糖尿病に罹患している方が多いです。私も他人ごとではないので糖尿病という病気には関心を持っています。なぜなら、私が罹患した「がん」という病気はいずれ克服され、不治の病ではなくなる時代がもうすぐ来るはずだと考えていたからです。
実際、癌にまつわる研究や治療法はこの数年の間でも大きく進歩しています。今でこそ、ガンは日本人の死因の1位であり、国民病と恐れられていますが、近い将来にがんが怖い病気ではなくなる時代がくるでしょう。そうなった時に、次に何が社会にとって最もインパクトのある病気になるかと考えると、真っ先に思い浮かんだのが糖尿病でした。
糖尿病の有病者は全国に1千万人います。予備軍も加えると、2千万人になります。我々がこのままの生活を続ければ、今後も確実に増えるでしょう。多いのは数だけではありません。医療費を考えると、実はがん以上に負担が大きいのです。
現在一般的に行われている糖尿病の治療は、生涯、薬を飲み続けるというものです。40代で糖尿病になれば、その後、30年、40年、50年と薬を飲み続けなければなりません。たとえひと月分の医療費はそう高くなくても、1年分、10年分、30年分と積み重なれば、かなりの金額になります。
たとえば、月に1回診察を受け、飲み薬(血糖降下薬)を2種類飲んでいれば、医療費は月に5千〜6千円ほどかかります(3割負担の場合の自己負担分)。飲み薬に加えてインスリン注射も打っていれば、月額の医療費は自己負担分のみで1万円ほど(3割負担として)になります。
そうすると、1年間で、飲み薬のみでも6万円〜7万2千円、インスリン注射も加わると1万円、10年間となると6〜22万円、あるいは120万円、30年続いたら180〜216万円、あるいは360万円です。
さらに、合併症があると、医療費は格段に膨れ上がります。なおかつ、合併症の数が増えるにつれて、医療費も上がっていきます。ですから、糖尿病になったがためにその人が生涯で支払わなければならない医療費というのは、かなりの金額になるのです。
一方、国全体の医療費は、糖尿病のみで1兆2239億円かかっています。これは、厚生労働省が公表している「平成25年度 国民医療費の概況」の傷病分類別の額を見たものです。悪性新生物(がん)の欄を見ると、3兆8192億円なので、「がんのほうが3倍も多いじゃないか」と思うかもしれません。
でも、糖尿病の先に腎不全や神経障害、さまざまな血管病が起こることを考えると、糖尿病によって生じる医療費はもっと多いはずです。こうしたことから、がんが怖い病気ではなくなった後、社会にとって影響の大きい病気となるのは間違いなく糖尿病だろうと考えていました。そのこともあって、糖尿病の研究に真剣に取り組む医者が増えたのです。
糖尿病は歩くだけで良くなったとよく聞きます。以前からの知り合いでHbA1cが8〜9%台の人がいました。その方は懇親会でよく合い、ほぼ毎日飲んでいました。毎回2500キロカロリーもあるコース料理を食べていたら、当たり前と言えば当たり前ですが、1年で一気に15キロも太り、糖尿病になってしまったそうです。
当時、その方は多くの協会関係の役職の仕事をされていたこともあり、「このままではいけない」と困っておられました。そこで、「1日1万歩くことを日課にしたら、血液検査の数値が全部良くなった人を知っていますよ」とお伝えしたところ、その方は本当に毎日1万歩を歩いたのです。
朝晩、万歩計をつけてトータル1万歩、歩き続けたら、あっという間に体重が15キロ減って元に戻り、筋肉質になっていきました。そして、8〜9%台だったHbA1cは正常値である5%台にまで下がり、空腹時血糖値も90m/2前後になったのです。
その方の場合、食事は相変わらずでした。懇親会で残さずコース料理を食べる量こそ多少は少なくなったものの、お酒も好きな方なので、毎日の飲酒は欠かさず続けていました。それでも、体重は落ち、血糖値もHbA1cも良くなったのです。
しかも、肝機能をあらわす数値など、血液検査の他の項目も良くなっていました。そんな自身の経験を受け、その方は、「歩けば良くなるとは本当だった」と、まわりの人たちにも毎日歩くことを勧め、実際に他の人たちも実践したところ良くなったのです。歩きすぎると膝が壊れることもあるので気を付けましょう。
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