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我が国のエネルギーの輸入依存度は80%以上です。エネルギーの半分は石油で、その86%は中東に依存し、石油の国家備蓄は85日分しかありません。このようにエネルギーの海外依存度が異例に高いだけでなく、貿易依存・食糧確保・安全保障などすべての面で、我が国は孤立しては生きてゆけないのが現状です。
しかし核冷戦終結で世界は大きく変動しています。世界人口は1950年に25億だったものが、1990年には50億人、2000年に61億人を超え、毎年1億人以上の爆発的増加を続けており、2050年には100億人になると予想されています。
アジアの急速な経済発展は、今後の世界エネルギー事情に大きな影響を与えるものと予想されています。世界人口の3分の1を占める中国とインドを中心としたアジア諸国のエネルギー需要は、20年で倍増すると考えられているのです。
しかも中国は、環境保全上から「脱石炭」を進めております。今後は日本も天然ガスへの依存を強めなければならないのですが、その入手対応は先進国の中で大きく遅れをとっています。こうした状況は、安定したエネルギー源を確保したい日本にとって大変な脅威となりそうです。
一方、こうした情勢変化と並行して地球環境破壊が進み、化石燃料自体の使用期限が重圧となりつつあります。化石燃料の使用により大気中に放出される二酸化炭素などが、太陽光で暖められた地面から熱放射される赤外線を吸収するブランケット効果をもたらして、宇宙空間への熱放射量を減らし、次第に大気温度を上昇させています。
「温室効果」ですが、化石燃料使用に起因する化学的な微粒子汚染も、地球環境に諸変化を引き起こしています。大都会が集中的に放散するヒート・アイランド効果による局所的異常気象の多発、台風・竜巻・局所豪雨・局所豪雪の巨大化傾向なども年々強まり実感しているでしょう。
世界の環境学者を総動員した「気候変動に関する政府間パネル」(IPPC)は、今世紀末には最大で5.8度の平均気温上昇および88センチの海面上昇の可能性があると発表しました。現に刻々と海面は上昇しています。
有効な対策がなければ、海抜1メートルの島国キリバスなどは確実に生存不能となるでしょう。オランダは水没防止に、まず国土面積の3%に空の人造湖や地下空所を造る計画です。オランダなら出来るでしょうが、バングラデシュやエジプトのデルタ地帯などでは、数千万人の住居が奪われると見られています。
日本では50センチの海面上昇により290万人が移住を余儀なくされるという調査報告もあるのです。気温変化の影響はもっと急速かつ致命的で、農業生産を破壊するのではないか、と警告する研究者もいます。
今すでに栄養失調状態の人は10億人以上、また飲料水不足に悩まされている人もさらに10億人以上いると言います。こうした農業の破壊がもたらす惨禍は、計り知れないものとなるでしょう。未来の世界環境がこのように変化する中、世界にすべてを依存している日本国の役割は重要なものとなるでしょう。
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