| |
捕まえたがん細胞を調べると、がん細胞には3種類あるといいます。「タイプ1」「タイプ2」「中間型」と呼ばれる3種類です。タイプ1は「働き蜂」のようなもの、タイプ2は「女王蜂」のようなものとイメージすれば、わかりやすいとのことです。
これまでは、ガンというのは、すべてのがん細胞が分裂して増えていくものと考えられていました。ところが、それが間違いで、「女王蜂=タイプ2」のがん細胞のみが分裂する能力を持ち、「働き蜂=タイプ1」は分裂する能力を持っていないというのです。
このタイプ1の癌細胞は、そのまま放置していても分裂することはなく、やがて消えていきます。おそらく体内に備わった防衛システムである免疫細胞がやっつけてくれるのでしょう。ですから、もしも、ある人のがんがタイプ1のみであれば、がんがそれ以上大きくなることもなければ、そのがんが原因で死ぬこともありません。
一方、タイプ2のがん細胞を放置しておくと、2ヵ月以内にすべての患者さんが亡くなることがわかりました。なぜなら、「女王蜂」が血液の流れに乗って、どこかに転移巣をつくると、そこで直ちに分裂を開始し、働き蜂をまわりに並べて、免疫細胞や抗がん剤の攻撃から自らを守りながら、分裂して数を増やしていくからです。
では、「中間型」とは何かと言えば、生まれてすぐの若い細胞です。そのまま放置しておくとタイプ1になる場合もあれば、タイプ2になる場合もあります。どちらになるかはわかりません。ですから、CTC検査を行って、タイプ2または中間型のがん細胞が見つかったら、それらを殺さなければ、患者を救うことはできないのです。
全身で4リットルほどの血液が循環しているので、4ミリリットルの血液にタイプ2のがん細胞が1個でもあったなら、体内にはその千倍の女王蜂が泳ぎ回っていると考えられます。 ただし、前述したように女王蜂(タイプ2)タイプのがん細胞はまわりに働き蜂を並べてガードしているため、攻撃は容易ではありません。
なんとか、タイプ2のがん細胞を死滅させる方法はないものか、そう悩んでおられた日本遺伝子研究所の方から相談をいただいたのが、2018年頃です。先生がステージ3やステージ4のがん患者に対して行っているのは、『がんの非常識』の本に書いてあります。
それは、免疫治療、遺伝子治療、温熱療法、サプリメント、そしてヨード(LS33・安定ヨウ素水)を組み合わせた複合治療です。このうち、がん細胞を直接殺せるという論文が多数見つかり、実際に患者に服用してもらったところタイプ2のがん細胞を死滅させることが確認できたのが、ヨードでした。
これまでに80人ほどの末期がんの患者に服用してもらい、どの患者も、1、2週間のうちにタイプ2のがん細胞がいなくなりました。 タイプ2のがん細胞がなくなったということは、すぐには亡くならないということです。
ただし、もともとのがん病巣は残っています。そして、ヨードだけで、もとのがん病巣まできれいになくなるかというと、きれいになくなる人もいれば、なかなか変わらない人、まれに悪くなる人もいる、ヨードだけで完全に治るわけではないこともわかってきました。
こうした経緯から、現在、末期がんの治療は、次のように2段階に分けて行っています。第1段階、ヨードを服用し、血液中のタイプ2と中間型のがん細胞をゼロにする。第2段階、患者と話し合いながら、ヨード、免疫治療、遺伝子治療、温熱療法、サプリメントという選択肢のなかから良いと思われるものを組み合わせた複合治療を行うというのです。
|
|