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21世紀の始まりを彩った環境車は間違いなく、プリウスでした。日本での人気と知名度は改めて語るまでもないのですが、米国でも特に環境意識の高いカリフォルニア州を中心に爆発的な人気を獲得しました。
2003年に2代目のプリウスが投入されると、米国全体で販売台数が年間10万台を超える人気車種となり、さらに2009年に3代目(米国では日本の『アクア』 という車種もプリウスブランドでカウント)がお目見えすると、2012〜2014年までの3年間は年間20万台以上が売れる一大ブランドとなったのです。
特にカリフォルニア州では大人気のベストセラーとなっており、当時、配車アプリの「ウーバー(Uber)」で車を呼ぶと、毎度やってくる車のほぼすべてがプリウスだったといいます。レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアスら錚々たるハリウッドスターがプリウスでアカデミー賞授賞式に乗り付けるなどイメージ戦略も奏功しました。
プリウスは環境に良くて、クールなイメージを持つ乗用車として飛躍していました。そして、同時に世界でも環境に良いハイブリッド車=プリウスというブランドが構築されていました。まさに、エコカー界の革命でした。(参照:東洋経済オンライン2018年7月8日)。
そのプリウスの歴史は1997年にさかのぼります。実は、もともとトヨタは1968年からハイブリッド車の研究を進めていましたが、一時中断を経て、1993年に「21世紀のクルマ」を社内で議論し始めたことが、プリウス誕生の直接のきっかけとなりました。
社内プロジェクトでは、燃費性能を1.5倍に引き上げる目標を掲げていましたが、途中で2倍というさらに高い目標値が示され、1995年にこの目標を実際に達成できるテクノロジーとして「ハイブリッド」に白羽の矢が立つことになったのです。
そして1997年に「トヨタ・ハイブリッド・システム(THS)」が完成すると、その年末には初代プリウスを発表しています。 燃費は28キロ/リッターで、価格は215万円。「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーが表す通り、開発からわずか2年間という短期間で最先端の独自技術を量産化させたことも含めて、歴史的な快挙でした。
しかし、初代の投入から20年以上が過ぎ、その栄光は色あせつつあります。まず、盤石を誇ったカリフォルニア州で、メーカーに環境車販売を義務付ける「ZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制」の枠組みからハイブリッド車が外れました。
それを皮切りに、近年のEVシフトで、国によってはガソリン車とともにハイブリッド車をも将来的に禁止する方針が取られました。具体的には、ノルウェーやイギリスのほか、ドイツやフランスなどが2030年ごろの販売禁止を予定し、さらに2021年7月にはEUが、2035年のハイブリッド車を含むガソリン車の新車販売禁止にまで踏み込んだ。
つまり、世界のカーボンニュートラル化を背景としたEVシフトによって、もはやハイブリッド車は「エコ」とみなされなくなったということです。そしてこの流れは、日本にまで到来しました。
2020年12月、政府がまとめる「グリーン成長戦略」で、2030年代のガソリン車の新車販売が禁止されるという報道が出始めたのです。これにはハイブリッド車は含まれないものの、トヨタを始めガソリン車を主力とする日本の自動車産業からすると、逆風となるのは想像に難くないのでした。
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