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  武谷三男氏の物理学人生  仲條拓躬2024/09/09(月) 17:01 
  素粒子論の発展  仲條拓躬2024/09/09(月) 16:59 
  イスラム帝国が急拡大した理由  仲條拓躬2024/09/02(月) 14:33 
  スマホ中毒のメカニズム  仲條拓躬2024/09/02(月) 14:32 
  中国の爆発的な成長  仲條拓躬2024/09/02(月) 14:31 
  AIは心の病を治せるのか  仲條拓躬2024/09/02(月) 14:30 
  日本は10年間でマイナス成長  仲條拓躬2024/09/02(月) 14:28 
  AIのデータの偏り  仲條拓躬2024/08/27(火) 17:25 
  統計学とは  仲條拓躬2024/08/27(火) 17:24 
  小話2024年8月分下2  仲條拓躬2024/08/27(火) 17:22 






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武谷三男氏の物理学人生
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/09(月) 17:01
No. 7589
 
 
現象論、実体論、本質論という物理学発展の「三段階論」を提唱したのは武谷三男氏 (1911〜2000)です。1930年代、物理学の世界は混沌そのものであったといいます。坂田昌一氏(1911〜1970)はこの頃の状況について、「原子や分子の研究の際、快刀乱麻を断つがごとき勢いを示した量子力学が原子核の問題にふれるや、たちまちその神通力を失った」と表現しています。

大御所のニールス・ボーア(1885〜1962、1922年にノーベル物理学賞受賞)までが、相対性理論が時間と空間の概念に根本的な変換をもたらし、量子力学が因果性の概念を破綻させたように、原子核内部の電子の運動についてはエネルギー保存の法則が破棄されるような事になっても容認しなければならないのではないか、と主張したほどでした。

エネルギー保存の法則は、物理学の根本といっても過言ではありません。その存立が疑われるとなれば、多くの物理学者が動揺するのも無理はなかったのです。武谷氏は京都帝国大学(現在の京都大学)を卒業し、湯川秀樹(1907〜1981、1949年にノーベル物理学賞受賞)の研究チームに加わりました。

混沌とした、ときには神秘主義に陥ろうとしていた物理学の混乱を突き破るストラテジーとして三段階論を唱え、当時の物理学の状況は実体論的段階であると認識することが重要であると主張し、中間子というモデルを提唱した湯川氏の研究を思想的に支えたのです。

同じ時期、物理学だけでなく、世界もまた大変な状況に陥っていました。アドルフ・ヒトラー(1889〜1945)が率いるナチス党が勢いを増し、1933年には合法的な選挙によってヒトラーが独裁権力を握るにいたります。

この年、かのアルベルト・アインシュタイン(1849〜1955、1921年にノーベル物理学賞受賞)までがドイツの名誉市民権を剥奪され、財産を没収されました。イタリアでもファシストが暴威を振るい、それに力を得てフランスのパリでも武装したファシストがデモをするにいたっています。

フランスの労働者は間髪をいれずにゼネストで対抗し、これを契機としてフランス人民戦線運動が広がっていきます。この運動の中で、ジョリオ=キュリー夫妻(夫はジャン・フレデリック (1900〜1958)、妻はイレーヌ (1897〜1956)、1935年に夫妻でノーベル化学賞受賞)、 ロマン・ロラン(1866〜1944)、アンドレ・ジイド(1869〜1951)なども街頭に飛び出してデモに参加しています。

そして1936年の総選挙で人民戦線派が圧勝し、人民戦線政府が成立します。しかしイタリアのファシズム、ドイツのナチズムを抑えることはできなかったのです。日本も暗黒の坂道を下っていました。

1920年代には、選挙で議会の多数を獲得して政権を握る政党政治がはじまり、労働組合運動もなんとか軌道に乗り、革新政党も大衆的な運動をはじめるようになっていました。しかし1931年、日本軍は柳条湖事件という謀略によって満州への侵略を開始し、1932年5月15日には陸海軍将校によるクーデター未遂事件(五・一五事件)が起こりました。

犬養毅首相が暗殺され、産声を上げたばかりの政党政治はわずか8年にして崩壊してしまいました。フランスで人民戦線政府が成立した1936年、日本では陸軍青年将校によるクーデター未遂事件(二・二六事件)が起こります。

武谷氏は自由な市民という立場から、日本全体が狂気に侵されていくのを何とか阻止しようと積極的に運動を展開しました。そして1938年、中井正一(1900〜1952)、新村猛 (1905~1992)らが創刊した『世界文化』に関連して、武谷は逮捕されます。

このときは湯川秀樹が保証人になることによって、七ヵ月後にかろうじて釈放されました。1939年にドイツ軍がポーランドを侵略したのをきっかけに第二次世界大戦が勃発し、1941年には日本軍がハワイの真珠湾を奇襲し、第二次世界大戦が太平洋へと拡大する。

こうしたなか、武谷は医学校に通っていたピニロピ・スワチキナ (1919〜2015)と恋に落ち、卒業後の1944年に結婚します。ピニロピの父親は旧ロシア海軍の将校で、その後、皇帝の侍従武官となり、ロシア革命が勃発すると反革命軍を率いて戦い、それに敗れて日本に亡命した軍人でした。

しかし、新婚4ヵ月で武谷は再び逮捕されてしまいます。持病の喘息が悪化していた武谷は、運が悪ければ三木清(1897〜1945)のように劣悪な獄中生活のため獄死してしまう可能性もありました。

だが、当時、武谷は、日本が原爆を開発するのは絶対に不可能だと知っていたので、軍の依頼で仁科芳雄(1890〜1951一)が進めていた原爆開発に積極的に協力していたのです。軍の最高機密である二号研究に関与していたのです。

仁科からも、武谷は研究のために絶対に必要な人材であるから釈放するようにという要望があったのです。そのこともあり武谷は、逮捕から八ヵ月後に仮釈放され、生きて日本の敗戦を迎えることができたのです。

 





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素粒子論の発展
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/09(月) 16:59
No. 7588
 
 
『素粒子論の発展』南部陽一郎 岩波書店 2009年)の書物から三段階論を南部先生が短く整理した文があるので紹介します。この感激的な時期に、坂田昌一氏と武谷三男氏が、湯川秀樹氏の中間子論の展開に協力しつつ、素粒子物理の理論的研究の方法と戦略を意識して明確に打ち立て、自らも実践して成果を挙げたのです。

坂田武谷の方法論は武谷の三段階論に要約されます。物理学の、とりわけ素粒子物理の進歩は三段階の繰り返しでおこるというのです。

[第0段階]
始まりは、現存する物理法則の外にある新現象の発見からです。

[第1段階] 現象論
最初の仕事は、データを集め、その中にある規則性を見いだし、経験法則にいたる。言い換えれば、データを組織化し予言をするところまでいく。これが現象論の段階です。 (中略)

[第2段階] モデルの構築
第一段階の現象論に続いてモデルを構築する段階がきます。規則性の起源をモデルの言葉で解釈しようとするのです。そのために具体的な、しばしば仮説的な実体が導入されます。そうではなくて、モデルが数学的な形をとることもあるでしょう。(中略)

[第3段階] 決定的な理論
次の最終の段階は、種々のモデルを、精密なすべてを含む数学的な体系をなす法則にまとめあげる理論を作る、あるいは考え出すことです。この理論は、現象を定量的に正しく記述し、精密な予言ができなければなりません。(中略)

[第4段階] 第0段階への回帰
三つの段階は繰り返すと期待されます。新しい現象が見いだされて理論が壊れるとき、第0段階に戻るのです。

 





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イスラム帝国が急拡大した理由
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/02(月) 14:33
No. 7587
 
 
イスラム教の創始者ムハンマドはもともと商人でした。けれど、40歳ぐらいのころ、マッカ (メッカ) 郊外の洞窟で瞑想していて、 神の言葉を聞きました。それがクルアーン (コーラン) です。

こうして、ムハンマドは布教を始めましたが、イスラム教は一神教です。それに対して、当時のマッカは多神教の町だったので、いじめられて町を追われてしまいます。そこで北に向かい、マディーナ (メディナ)という町で首長になって、イスラム教を広め、逆にマッカを征服して、アラビア半島でウンマといわれるイスラム共同体を始めます。

ムハンマドが死んだ後、戦友のアブー・バクルやウマルという優れたリーダーがローマ軍を破り、くたくたになっていた東ローマ帝国を蹴散らすと、サーサーン朝をも倒し、あっという間に大帝国を築きました。

イスラム教が急拡大したのは、合理的で寛容だったからたでしょう。イスラム教は商人の宗教ですから合理的なところがあります。例えば、戦争に勝ったとき、ミスルという軍営都市をつくりました。

要するに、制圧した町に兵隊を入れず、郊外にキャンプをつくって住まわせたのです。戦争に勝った兵隊たちは気分が高揚していますから、町に入れたら、おいしいご飯を奪ったり、きれいなお姉さんにちょっかいを出したりするのが目に見えています。

だから、ミスルをつくったのです。「コーランか剣か」という言葉を聞くことがあります。イスラム教徒が制圧した民族に対して、「イスラム教に改宗するか、それとも死ぬか」と迫った言葉とされていますが、違います。

実際には、税金さえ払えば、 今まで通りの信仰が認められました。税金を支払わないなら、とことん戦おうという話です。皆さんならどうしますか。税金を払えば、今まで通りに生活できるなら、殴りあいなんて嫌ですよね。

しかも、キリスト教とユダヤ教は同じ一神教です。イスラム教徒は、キリスト教やユダヤ教の神は、自分たちが信じる神と同じだとして、特に保護しました。イスラム帝国が急拡大した理由は、イスラム教の合理性と寛容さにありました。

 





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スマホ中毒のメカニズム
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/02(月) 14:32
No. 7586
 
 
目につくところになくても、スマホがどこにあるのかは把握しているでしょう。そうでなければ、この一文にも集中できていないはずです。 朝起きてまずやるのは、スマホに手を伸ばすことでしょう。1日の最後にやるのはスマホをベッド脇のテーブルに置くことです。

私たちは1日に2600回以上スマホを触り、平均して10分に一度スマホを手に取っています。起きている間ずっとです。いや、起きている時だけでは足りないようで、3人に1人が (1〜24歳では半数が) 夜中にも少なくとも1回はスマホをチェックするという。

スマホがないと、その人の世界は崩壊します。私たちの4割は、一日中スマホがないよりは声が出なくなる方がましだと思っているといいます(本当にそうなのだ)。どこにいても街中やカフェ、レストラン、バスの中、夕食のテーブル、おまけにジムにいても、見回すと誰もが自分のスマホをじっと見つめています。

それがいいか悪いかは別として、依存してしまっているのです。スマホのスクリーンは、いかにしてこの世を堕落させたのか。それを理解するために、脳内の伝達物質をひとつ選んで本を読むなら、ドーパミンが書かれているものをお勧めします。

どうしてスマホがこれほど魅惑的な存在になったのか、その理由を知りたい場合にも悪くないテーマです。ドーパミンはよく報酬物質だと呼ばれていますが、実はそれだけではないのです。ドーパミンの最も重要な役目は私たちを元気にすることではなく、何に集中するかを選択させることです。つまり、人間の原動力とも言えます。

お腹が空いているときにテーブルに食べ物が出てきたら、それを見ているだけでドーパミンの量が増えます。つまり、増えるのは食べている最中ではないのです。その食べ物を食べるという選択をさせるために、ドーパミンはあなたにささやく。「さあ、これに集中しろ」

ドーパミンが、満足感を与えるというより行動を促すのなら、満足感はどこから来るのだろうか。それには「体内のモルヒネ」であるエンドルフィンが大きな役割を果たしているようです。ドーパミンは目の前にある美味しいものを食べるよう仕向けてくるが、それを美味しいと感じさせるのはエンドルフィンです。

ストレスのシステムと同様に、脳内の報酬システムは何百万年もかけて発達してきました。 どちらのシステムにとっても、現代社会は未知の世界です。報酬システムでは、ドーパミンが重要な役割を果たし、生き延びて遺伝子を残せるように人間を突き動かしてきました。つまり食料、他人との付き合い人間のように群れで暮らす動物にとっては大切なことです。

そしてセックスによってドーパミン量が増えるのは、不思議なことではないのです。だが、スマホもドーパミン量を増やします。それが、チャットの通知が届くとスマホを見たい衝動にかられる理由です。スマホは、報酬システムの基礎的なメカニズムの数々をダイレクトにハッキングしているのです。

 





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中国の爆発的な成長
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/02(月) 14:31
No. 7585
 
 
1999年、アリババが創業されます。アリババは1997年に創業された楽天、1995年に創業されたアマゾンと同様、EC (Electronic Commerce) を開拓した会社ですが、中国のビジネス環境には米国や日本と比べて大きな違いがありました。

米国や日本には成熟した消費者市場が存在していました。しかし、中国にはそのような消費者市場は存在していませんでした。アリババの創業は日本では話題にならず、多くの日本企業は中国を消費者市場としては見ていませんでした。

中国は人件費の安い製造拠点というのが、大方の見方でした。孫正義氏だけが中国市場の爆発的な成長を予見していました。ソフトバンクはアリババに20億円を投資します。その投資はソフトバンクに8兆円の含み資産をもたらすことになります。

孫正義氏の予見は正しいものでした。ECは中国の地方に住む十数億人の人々にモノを買う機会を一気に提供したのです。消費と製造 の拡大が良循環を形成し、GDPを押し上げていきます。1989年に2兆円であった中国のGDPは2009年に500兆円を超え、2010年には日本のGDPを抜き去ります。

多くの日本企業が中国を製造の場所と考えていたのに対して、欧米企業は市場として捉えていました。彼らにとって中国は地理的に遠く、製造拠点としての意味はなかったからです。自動車業界では米国のGMや ドイツのフォルクスワーゲンが先行し、市場を占有していきます。

日本企業では、日産自動車がカルロス・ゴーン氏のリーダーシップで早期に進出します。トヨタ自動車は米国市場での基盤強化を優先し、中国市場 への進出は遅れていました。ケ小平が井戸を最初に掘った会社と呼び、来日の折には大阪に行って本社や工場を訪問し、感謝を表したパナソニックは中国に100近い拠点を持っていました。

だが、皆、製造拠点であり、関係する事業部がばらばらに進出し、中国という国、市場をパナソニックトータルで考える体制はありませんでした。2000年の前後、中国のGDPはまだ日本の3分の1でした。

しかし、デジタル技術がもたらすチャンスは、住んでいる国や地域に関係なく好奇心と挑戦心を持つ若者に平等に与えられました。アマゾンに対するアリババ、グーグルに対するバイドゥ、フェイスブックに対するテンセント。彼らはほぼ同時期に事業を始めます。

アリババの創業者は馬雲という人物です。1964年に生まれ、小さい頃から英語に興味を持ち、中国に来訪する外国人との交流を深めていきます。一時は大学進学も諦め三輪自動車の運転手などをしていたと言われます。

紆余曲折があり、最終的には大学の英語科に進み、英語教師としてキャリアを始めます。その英語教師が1995年、米国で出合ったインターネットに興味を持ち、中国版のイエローページ(企業広告)を開発し、1999年に本格的なEC市場の事業化に取り組みます。

目的は、中国の中小企業者が世界の市場で顧客を見つけられるようにするということでした。7人の共同創業者がいました。アリババは誕生したときから、米国や日本に大きく遅れた中国という国の課題に取り組むというミッションを持っていたと言えます。

 





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AIは心の病を治せるのか
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/02(月) 14:30
No. 7584
 
 
現代社会は「ストレス社会」とも呼ばれ、私たちは多くのストレスを抱えて生活しています。競争社会、管理社会、高齢化社会、情報化社会というように、ストレスは雨のように降ってきます。この状況に連動するように、心に起因する社会問題はますます深刻化しています。

最新の疫学データによれば、精神疾患、つまり「心の病」に一生涯のうちに一度でも罹患する確率は80%だそうです。私たちにとって一大事のこの病は、もはや他人事ではありません。精神疾患には多様な種類があり、その要因も症状もさまざまです。

たとえばストレスがなくなれば精神疾患が治るという単純なものではないことも、多くの方を苦しめています。そのような中、質の高い心豊かな生活を送るためにはどうすれば良いでしょうか。

それには、「心の病」を生み出す「脳」に対する正しい理解と、それに立脚した共感と思いやりのあるコミュニケーションを介して、人々が互いに調和しながら進むべき道を柔軟に模索していく必要があるのではないか。脳を研究している先生方は、そのように考えています。

人が人の脳を正しく 理解する「脳リテラシー」こそが、「心の病」の予防や治癒への鍵になるはずです。「心の病」を治すのが難しいのは、患者の脳の中で何が起こっているか、明らかではないことばかりだからです。最新科学で解明できないほど、私たちの脳はとても複雑な仕組みではたらいています。

たとえば、囲碁はAIが人類に勝つのは不可能に近いと考えられていましたが、2017年、囲碁界最強の天才棋士・柯潔氏に対し、ディープマインド社の囲碁AIである「アルファ碁(AlphaGo)」が3戦3勝の完勝をおさめました。

がんに関連する約2000万件の論文情報を学習したIBM社の「ワトソン」というAIが、治療が困難を極めていた急性白血病の患者の病気のタイプを10分で特定し、治療法の変更を提案して回復に導いたという事例も出てきました。

どちらのAIも、ニューラルネットワークというモデルを応用しています。ニューラルネットワークとは、人間の脳の素子である神経細胞やそのつなぎ目であるシナプス、そしてそれらから形成される神経回路網から着想を得たもので、脳機能の特性のいくつかをコンピュータ上で表現するためにつくられた数学モデルです。

つまり、AIはもともと脳の仕組みを模して造られたものです。それゆえ、もはや人間の脳のことはすべて分かってしまっているのではないか、と思っている方もいるかもしれません。しかし、そうではないのです。では、人の脳にできてAIには困難なことには、どのようなものがあるのでしょうか?

現在のAIは特化したこと、たとえば先ほどの囲碁の例などのように、特定のタスクにのみ人を凌駕する能力を発揮できます。一方で、人間はさまざまなタスクに柔軟に対応できる汎用性を持っており、さらには未知の状況を推論し、自らの行動を持続的に修正することができます。また人間は、原因と結果を理解し、それを簡潔に表現できます。

過去の膨大な天体データに基づき、どの惑星が、いつ、どこにあるかを計算することはAIにもできますが、このような原理原則を、宇宙の秩序を端的に表す理論(ケプラーの法則)として表現することは未だにできません。

この理論は、400年も前に天文学者ヨハネス・ケプラーにより導出された美しい理論です。また、ワトソンの例を見れば分かるように膨大な文献を読み込むことはAIの得意とするところですが、意味を理解し、そのエッセンスを凝縮したキャッチコピーにすることもAIには難しいでしょう。

今年の新聞をすべてAIに読み込ませ、サラリーマン川柳を作成したとしても、入選作品が魅せる悲哀とユーモアを交えた圧倒的なシャープな切れ味になるでしょうか。さらには、美術品や文学などの創作や、丁度いい塩梅で問題解決して事業を立ち上げることなども人類の圧勝と言えそうです。

また好奇心、向上心、時に不合理な判断やリスクをとり、想定外のセレンディピティーを生み出します。人間は「なぜ?」と疑問を持ち、考えます。考える分、思考力は深まり、新たな創造が次々と生まれていきます。AIに「『なぜ?』と疑問を持ちなさい」、「良い『問い』を設定しなさい」と命令しても難しいでしょう。

 





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日本は10年間でマイナス成長
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/09/02(月) 14:28
No. 7583
 
 
1990年代、日本経済は穏やかに成長していました。本当の意味での「失われた」という形容詞が当てはまるのは、ミレニアムと呼ばれる21世紀の最初の10年間でした。1998年のGDPは528兆円、10年後の2008年のGDPは520兆円です。10年間でマイナス成長という世界的にも前例のないマクロ経済の低迷が長期間続きます。

同じ10年間で米国のGDPは1006兆円から1633兆円へ、中国のGDPは129兆円から483兆円へと大きく拡大していきます。韓国、マレーシア、インドネシア、タイ、そしてインドが成長を加速していきます。なぜ、日本だけが成長を止めたのか。政治と行政が誤った施策を進めたのか。

民間の活力を活かすため、中曽根内閣による電電公社の民営化、国鉄の分割民営化、橋本内閣による金融自由化 (1980年代に英国のサッチャー政権が実施した大規模な金融規制緩和、ビッグバンになぞらえて日本版ビッグバンと呼ばれました)、小泉内閣による郵政民営化など具体的な規制緩和への取り組みが行われました。

少子高齢化という日本の人口構成の変化が原因なのでしょうか。生産年齢人口(OECDの定義では55歳から56歳)は1990年代にピークを打ち、その後、低下しています。しかし、米国や欧州でも同様の傾向があり、このことだけで日本のGDPの成長停止を説明することはできません。

生産年齢人口が減ってもイノベーションを行い、生産性を上げれば成長を実現できるからです。では、なぜイノベーションが生まれず、生産性が上がらなかったのか。規制緩和会議の議長を務めるなど 民間活力の開発に関わってきたオリックスの宮内義彦氏は次のように述べています。

「日本は現状を維持しようとする力が非常に強い。日本を代表する大企業でさえ、官僚的な組織になってしまっているところもあります。行政と同じように、民間企業も官僚組織になってしまえば、日本全体が大きな変化を望まない組織になってしまう。そこからは改革や変革、イノベーションは生まれないのではないでしょうか」(「論客経営者10人が語る新時代への提言と警鐘」「Monthly BOSS』 2019年6月号)

もちろん、すべての企業がそうなったわけではありません。社員の活力を最大限発揮させた企業も存在します。しかし、大半の企業では社員が決められたルーティン業務に集中し、好奇心と挑戦心を失い、自ら考えることをしなくなったように思います。

多くの日本企業の社員が官僚化した理由は何か。20世紀末に使命を終えたトップダウンの戦略経営を継続した経営者が戦略の策定や実施に向けての社内調整のために社内官僚を必要としたことにあるのではないか、会社の目標を達成するため上意下達の目標管理(悪しきMBO)を導入したことにあるのではないか。皆様はどのように考えますか。

 





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AIのデータの偏り
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/27(火) 17:25
No. 7582
 
 
AIの問題は、偏見をもつということです。AIの訓練する手間からもわかるように、データ入力が不十分な分野ではAIは十分に機能しないどころか、誤った結果を出して悲惨なことになってしまうのです。例えば、皆様は意識していないと思いますが、現在AIの開発の大部分は英語圏でなされており、入力されるデータは英語圏のものになります。

つまり日本語やタイ語、トンガ語、モンゴル語、フランス語、カザフ語などの地域の人々の言語は入力されていません。そのため英語圏以外の人々の行動データや画像、動画なども入力されにくくなっています。こうしてデータが偏れば、AIが意図せずに偏見のある、または差別的な応答を生成する可能性が高くなります。

入力されるデータが偏るので、情報量や網羅性も低くなる点も問題です。例えば、ChatGPTは日本の中世における和歌の意味を正しく理解することができません。ボツワナの経済史に関する回答も間違いだらけで、基本的な経済学の回答もメチャクチャです。

少々ニッチな情報は正しく出力することができません。これも入力されるデータに偏りがあるからです。さらにデータがいつ作成されたものか、その時代やタイミングに合っているか、ということも検証できません。そしてまた自然言語解析が、入力された単語や文章を本当に正しく理解しているか、ということも確認することができないのです。

しかもユーザーは、AI提供企業がどんなアルゴリズムを使ってどんなデータを入力しているか、などがわからないのです。今のAIは文脈を読み取るとか、細かい微調整をすることが苦手です。AIの代表格のChatGPTはなんとなくフレンドリーで共感してくれる答えを出しそうに思われますが、微妙および複雑な感情の動きに対応できません。

現状ではプロの作家やアニメーター、音楽家、セラピストの代わりになることがほぼできないのです。特定の目的に対して出力を期待する場合は、ケースごとに微調整も必要になります。

例えば「商品パッケージの中で『スラムダンク』の初期の絵柄に似たものが好きな顧客が好むものを選ぶ」というタスクは、目的が一般的ではなく特殊なためAIが妥当な絵柄を選ぶように細かく調整する必要があります。その手間暇はかなり大変です。

さらにAIは微調整が得意ではないので、ChatGPTでは誤字、文法エラー、スペルミスに対する感度が限られています。文脈や関連性の観点から完全に正確でない文章を生成することがあります。特に英語以外の言語ではこれが難しいのです。

 





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統計学とは
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/27(火) 17:24
No. 7581
 
 
統計学は、俯瞰的な視点でデータの特徴をとらえ、そこから知見を得るための学問です。 代数学や幾何学は古代ギリシア時代から熱心に研究されていたのに対し、統計学の歴史は比較的浅く、学問として認識され始めたのは17世紀頃からです。

微積分学も、体系的な学問として発展し始めたのは17世紀のニュートン、ライプニッツからなので、これら2分野は四天王の中でも若手の方だと言えます。17世紀頃のヨーロッパ諸国では、国家の行政機能が進歩し、人口や経済に関するデータを組織的に収集・分析する体制が整ってきました。

しかし、目の前にある膨大なデータを前にして、役人は困り果ててしまいます。データの山を眺めるだけでは、「で、結局何が言えるの?」という肝心な部分が分からないからです。膨大なデータの特徴をとらえ、そこから知見を得るための方法論を確立したいという社会的ニーズから、統計学が誕生しました。

統計学は大きく分けて3つの分野からなります。
@ 記述統計学 データの特徴をわかりやすく記述する。
A 推測統計学 限られたデータから全体の状況を推測する。
B ベイズ統計学 新しいデータを学習して予測を改善する。

膨大なデータを読み解いていく方法を体系化したものが、1つめの記述統計学です。記述統計学は、歴史的には3つの分野のうちで最初に登場したものであり、統計学全体の土台をなしています。

2つめは、選挙の出口調査や新薬の治験など、限られたデータから全体の状況、例えば選挙の勝敗や世界中の患者に薬が効くかなどを推測するための方法論が推測統計学です。または推計統計学とも呼びます。

有権者全員にインタビューしたり、世界中のすべての患者に薬を試したりといったことは非現実的ですから、一部を調べて全体の状況を推測するという推測統計学の手法は、現代文明にはなくてはならないものになっています。

3つめは、AI時代に注目度が高まっているベイズ統計学です。近年はビッグデータ時代ともいわれ、毎日のように膨大なデータが生み出されています。ベイズ統計学は、そういった新しく生み出されるデータを取り込むことで、既存のデータに基づく予測を改善していく「学習機能」が最大の特徴です。

次々と新しいデータが生み出される現代社会においてニーズが高まっている分野です。これら3つの分野はそれぞれ守備範囲が異なっていて、全体として非常に幅広いテーマをカバーしているからこそ、統計学の応用範囲が多岐にわたるわけです。分析を行う際は、データを使って何をしたいのかという目的に応じてこれらを使い分けていきます。

 





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小話2024年8月分下2
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/27(火) 17:22
No. 7580
 
  私たちが世の中の急激な変化に直面したとき、その背後に指数関数が隠れているケースが非常に多いのです。コロナ禍やシンギュラリティ(技術的特異点) など、変化のスピードが非常に速い出来事の核心には、指数関数があります。指数関数は、いわば人類を翻弄する「スピード狂」のような存在です。

指数関数的な変化にうろたえてしまった典型例の一つが、コロナ禍における感染者数の増加です。 実際に 感染者数がどのように推移したか。日本と米国における新型コロナ感染者数の推移として、感染が拡大しはじめるタイミングが異なっていました。日本は2020年1月末から、米国は2月末から表示しています。また、4月以降は各国の感染予防策が効果を発揮し始めて状況が変わったので3月末までのグラフを発表しています。発表したグラフを見てみると、おおむね直線状に伸びていることが分かります。

コンピュータのプログラマーや分野が違う事務員の人が乳がん患者の画像や検査結果のデータを見ても判断は不可能です。結局、医師や画像診断をされてきた人が、「情報の分類」「意味づけ」「AIが判断できる情報提供」をしておく必要があります。

それにAIに入力する診断データは膨大なので、診療で超多忙な医師が仕分けをしてAIに入力する作業を延々とするわけにはいきません。それを他の人がやっても人件費がかかります。これはほかの分野でもまったく同じなのです。

1998年の中国のGDPは129兆円で日本の4分の1にも及ばない水準でした。韓国のサムスン(三星)電子は、韓国をベースとするローカル企業でした。1990年代はその後、大きく発展する新興企業が胎動を始めた時代でもありました。

この度、NHKのラジオ国際放送などで、中国人の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と中国語のニュースで伝えて問題となっています。さらに、NHKは、このスタッフが英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言したことを明らかにしました。議員からは「非常に深刻な問題」「なぜ、発言を止められなかった」といった意見があがっています。

私たちの祖先は、明るい希望よりも脅威の方がはるかに多い環境に生きていたのでしょう。負の感情を頻繁に感じるのは、ほとんどの言語で負の感情を表す言葉の方が多数あることからも見て取れます。そもそも、普通の人は負の感情のほうがずっと気になるのです。争いや修羅場のない映画や小説を読みたい人なんているのであろうか。

日本でいえば、仏教を受け入れようとする蘇我氏に、物部氏が抵抗した丁未の乱です。しかし、どの国でも仏教を受け入れる方が圧勝しています。要するに、ゼネコンが喜ぶからです。仏教を受け入れれば、お寺を建てたり、仏像をつくったりするので、工事の仕事がたくさん舞い込みます。守旧派についても、仕事はきません。

経済合理性を考えたら勝負の結果はすぐにわかります。中国では、581年に隋が建国されました。長らく南北に分かれていた中国が統一されます。これは地球が再び温暖化したからです。暖かくなれば穀物がたくさん収穫できて兵糧を確保できて、大軍を動かせるようになります。だから、国々が統一され、大国の時代になります。

セシウム137の放射線量は、30年経ってやっと半分にしか減りません。放射線量がなかなか減らないので、時間が経つとセシウムの方が厄介者になるのです。

選挙の出口調査や新薬の治験など、限られたデータから全体の状況、例えば選挙の勝敗や世界中の患者に薬が効くかなどを推測するための方法論が推測統計学です。または推計統計学とも呼びます。

有権者全員にインタビューしたり、世界中のすべての患者に薬を試したりといったことは非現実的ですから、一部を調べて全体の状況を推測するという推測統計学の手法は、現代文明にはなくてはならないものになっています。

現在AIの開発の大部分は英語圏でなされており、入力されるデータは英語圏のものになります。

つまり日本語やタイ語、トンガ語、モンゴル語、フランス語、カザフ語などの地域の人々の言語は入力されていません。そのため英語圏以外の人々の行動データや画像、動画なども入力されにくくなっています。こうしてデータが偏れば、AIが意図せずに偏見のある、または差別的な応答を生成する可能性が高くなります。

 






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