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  放射線量について  仲條拓躬2024/08/26(月) 16:20 
  新技術が伝来すると  仲條拓躬2024/08/26(月) 16:18 
  決断する時に支配する感情  仲條拓躬2024/08/26(月) 16:14 
  偏った歴史教科書  仲條拓躬2024/08/23(金) 18:20 
  成長していた日本企業  仲條拓躬2024/08/22(木) 17:03 
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  指数関数でコロナ禍が分かる  仲條拓躬2024/08/20(火) 17:43 
  人類を翻弄するスピード狂  仲條拓躬2024/08/20(火) 17:38 
  統計学者ナイチンゲール  仲條拓躬2024/08/19(月) 17:04 
  キリスト教が広がったのは  仲條拓躬2024/08/19(月) 17:03 






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放射線量について
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/26(月) 16:20
No. 7574
 
 
2011年の福島原発事故のとき、当初は放射性物質の一種であるヨウ素131による汚染が大々的に報道されましたが、次第にセシウム137等の別の放射性物質がクローズアップされるようになりました。

なぜ時とともにクローズアップされる放射性物質が変わったかというと、そこに指数関数が関わっています。放射性物質はずっと同じレベルの放射線を出しているわけではなく、時間の経過とともに放射線量は減っていきます。

目安として放射線量が半分に減るまでの期間を「半減期」と呼びます。つまり、半減期が過ぎたら放射線量は2分の1になり、半減期の2倍の時間が経てば、放射線量は4分の1になります。そう考えると、放射線量は次のように指数関数で表すことができます。

〈放射性物質が出す放射線量の数式〉 放射線量=事故直後の放射線量×(2分の1) (※「経過時間」は、事故発生直後からの経過時間を意味します) 放射性物質の種類によって半減期は大きく異なります。

例えば、ヨウ素131の半減期は8日ですが、セシウム137の半減期は30年です。この点を考えると、先ほどの報道の謎が解けます。一般に、原発事故が起きた直後は、ヨウ素131が最も多く放出されます。

それに比べるとセシウム137の放出量は少ないですが、ヨウ素131の半減期は8日なので、放射線量は約3ヵ月もすれば1000分の1になります (2(10乗)=1024なので、80日で1024分の1になる)。

一方、セシウム137の放射線量は、30年経ってやっと半分にしか減りません。放射線量がなかなか減らないので、時間が経つとセシウムの方が厄介者になるのです。

 





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新技術が伝来すると
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/26(月) 16:18
No. 7573
 
 
日本では、538年に百済から仏教が伝来したといわれます。この時代の仏教とは教えではなく、最新の技術体系であると考えてください。仏教を信じようとすれば、お寺を建てたり、仏像や仏具をつくったりしなければなりませんし、経典も要ります。

これは1つの技術体系です。しかし、どんな国でも、最新の技術体系をそう簡単にほかの国に教えたりはしません。今の日本はアメリカから戦闘機を買っていますが、戦闘機の心臓部がどうできているかはブラックボックスで、教えてもらえません。

どうして百済は、日本に最新の技術体系を教えてくれたのでしょうか。当時の百済は、隣国の高句麗や新羅に押され、国が滅ぶかどうかの瀬戸際にありました。538年というのは、百済が新羅から逃れるように遷都した年です。

「兵隊を送ってくれ。何でも教えてやるから」というのが百済の本音でした。仏教という技術体系は、朝鮮や日本だけでなく、ベトナムなどにも伝えられました。新しい技術や思想が伝わると、守旧派との間で必ず争いが起こります。

日本でいえば、仏教を受け入れようとする蘇我氏に、物部氏が抵抗した丁未の乱です。しかし、どの国でも仏教を受け入れる方が圧勝しています。要するに、ゼネコンが喜ぶからです。仏教を受け入れれば、お寺を建てたり、仏像をつくったりするので、工事の仕事がたくさん舞い込みます。守旧派についても、仕事はきません。

経済合理性を考えたら勝負の結果はすぐにわかります。中国では、581年に隋が建国されました。長らく南北に分かれていた中国が統一されます。これは地球が再び温暖化したからです。暖かくなれば穀物がたくさん収穫できて兵糧を確保できて、大軍を動かせるようになります。だから、国々が統一され、大国の時代になります。

寒くなるとその逆で、分裂の時代になります。隋のような大帝国の誕生は、周辺諸国にとっては大事件です。朝鮮や日本は、難しい立場に立たされます。それまで分裂していた南北の双方に朝貢したりして、中国の動静に気を配っていた国々です。

では、隋には、どう出るか。かわいいポチになるのか、頑張って自立した国家を目指すのか。選択を迫られます。日本は遅ればせながら600年に遣隋使を出して、様子を見にいきました。そこで大帝国のあまりの立派さに仰天して、「これは、国を固めなければならない」となりました。

それで冠位十二階や十七条憲法の原型をつくります。日本では長らく聖徳太子がつくったといわれてきましたが、おそらく蘇我馬子でしょう。聖徳太子という人は実在しなかったと考えられます。実在したのは、皇族の厩戸皇子という人でした。

 





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決断する時に支配する感情
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/26(月) 16:14
No. 7572
 
 
人間のあらゆる活動は顎を掻くことから、原子爆弾を爆発させることまで、たったひとつの欲求の結果でしょう。その欲求とは、胸の内の精神状態を変えたい、というもの。そこを出発点にして、私たちは感情に支配されています。

脅かされると、怯えるか怒るか、逃げるか攻撃に出るかです。身体にエネルギーが足りなくなると、お腹が空き、食べ物を探そうとします。ここが完璧な世界で、その人が直面する選択肢の情報をすべて得ることができるとします。サンドイッチを食べようかどうか悩んでいる人は、栄養素、味、パンが焼き立てかどうかをちゃんと把握しています。

今自分の身体に栄養を補給しなければいけないこと、それにはサンドイッチが最適だというのもわかっています。そういった情報をすべてまとめ、サンドイッチを食べるか否かを合理的に決定することができます。

もし私たちの祖先がこんな完璧な世界に暮らしていて、蜂蜜がたっぷり詰まったハチの巣の前に立ったら、蜂蜜が秘める危険性と可能性についてあらゆる情報を手に入れられたわけです。その巣に入っている蜂蜜の量とカロリー、自分の貯蔵エネルギーが今どれくらい残っているのか。巣から蜂蜜を奪うために、負傷する危険性はどのくらいあるか。

ハチ以外に危ないものはないか? 簡単にすべての情報をまとめ、蜂蜜を取るべきか否かを合理的に決定することができます。問題は、祖先がいたのはそんな完璧な世界ではなかったし、私たちがいる世界もそうではないことです。ここで感情が登場するわけです。私たちに様々な行動を取らせ、瞬時に全力で行動に出られるようにするのが感情です。

意識ある自分が充分な情報を持ち合わせていない場合、もしくは決断に時間がかかりすぎる場合、脳は即座に大まかな見積もりを取り、感情という形で回答を返してくれます。「すごくお腹が空いた、だからサンドイッチを食べよう」 私たちの祖先も同じように、空腹を感じて蜂蜜を取ったのです。

それで大変な目に遭う可能性は低いと判断した場合、もしくは究極に飢えていた場合は。危険が大きすぎると判断すれば、恐怖を感じてやめておきます。スーパーのお菓子売り場の前に立つと、餓死を回避すべく進化したアルゴリズムが素早く見積もりを取り、私たちに答えを与えてくれます。「お菓子が食べたい!」そんな激しい欲求という形で。

食べ物が溢れるほどある現実に、脳は追いついていないのです。だからお菓子の棚の前に立つと、多くの人は合理的な判断を下せなくなります。私たちがカロリーを欲しがる子孫である可能性は非常に高いです。

こんなふうに、感情は良くも悪くも人間に様々な判断をさせます。ところで、それは独立した現象ではありません。感情が湧くことで、身体と脳に連鎖反応が起こり、それが各器官の動きに影響するだけでなく、思考のプロセスや、周囲をどう解釈するかにも影響してきます。恐怖を感じた瞬間に、脳はコルチゾールとアドレナリンを放出する指令を出す。

心臓が速く強く打ち始め、筋肉に血液が送り出されます。逃げるにしても、攻撃に出るにしても、最大限に力を発揮できるように。お腹が空いているときに食べ物を見ると、脳がドーパミンを放出し、食べたいという欲求を促す。ドーパミンはオキシトシンと同様に、性的に興奮するときにも放出され、他人との絆も感じさせます。

そのおかげで、テレビ画面ではなく隣にいる人に集中できるのです。ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。人類の歴史の中で、負の感情は脅威に 結びつくことが多かった。そして脅威には即座に対処しなければいけないのです。

食べたり飲んだり、眠ったり交尾したりは先延ばしにできるが、脅威への対処は先延ばしにできないのです。強いストレスや心配事があると、それ以外のことを考えられなくなるのはこれが原因です。

私たちの祖先は、明るい希望よりも脅威の方がはるかに多い環境に生きていたのでしょう。負の感情を頻繁に感じるのは、ほとんどの言語で負の感情を表す言葉の方が多数あることからも見て取れます。そもそも、普通の人は負の感情のほうがずっと気になるのです。争いや修羅場のない映画や小説を読みたい人なんているのであろうか。

 





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偏った歴史教科書
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/23(金) 18:20
No. 7571
 
 
国定教科書になったのが明治36年です。それまでは検定で各社様々な教科書を作っていました。教科書は採用されると大変な部数が出るので、検定をめぐって汚職が生じることは現代と同じだといいます。どこの国の教科書も自国の「非」は書きません。アメリカの教科書は原爆のおかげで、本土決戦で死ぬはずの日本人の命は救われたと書いています。

それが当たり前なのに日本はその反対です。「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」と碑を広島に建てたのは日本人です。これでは日本人が原爆を投下したことになります。日本人でそれを言うのは少数派です。東京裁判のインドのパール判事が2度目に来日したときおかしいと言ったのに改めない。新聞もテレビでも報道しない。

日本のインテリはソ連、中国、北朝鮮にべったりだからです。社会主義は善で資本主義は悪だと信じています。ソ連が攻めてきたら早速降参するつもりです。降参した功によって日本に社会主義政府が樹立されたら大臣にでも任命されると思っています。

戦争に負けた日本人はアメリカ教祖の教育を受けたから皆、日本人でなくなったのです。国民が「どうしてそんなに謝るの」と新聞には掲載しません。天皇陛下に謝罪のお言葉がなかったと不服です。本当に不服なのは記者なのです。

中国や韓国の国民は、教科書には検定と国定の区別があることを知りません。それは共産主義国家でもない韓国でさえ、理解されていないのです。国が作ったたったひとつの教科書で反日教育をまっさらな子ども達の頭の中に刷り込んでいくのです。

さらに、日本の重要性、自国への貢献に関する事実を知らされていません。日本国民の血税である無償経済援助も知らされていないのです。この度、NHKのラジオ国際放送などで、中国人の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と中国語のニュースで伝えて問題となっています。

さらに、NHKは、このスタッフが英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言したことを明らかにしました。議員からは「非常に深刻な問題」「なぜ、発言を止められなかった」といった意見があがっています。中国は、「日本国は中国の南京で、一般の民衆30万人を大量虐殺し、残虐非道な行為」と中国側の話しをそのまま報道した。

海外では間違っていても、声のでかい国の言い分が通るのです。国際政治は情報戦です。日本政府は過去に中国の偏った歴史教科書を調べるといっていましたが、その報告は聞きません。堂々と自国歴史教科書の問題と自己主張を国際社会に発言すべきだと思うのです。

 





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成長していた日本企業
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/22(木) 17:03
No. 7570
 
 
日本では、平成元年である1989年12月2日、東京証券取引所の大納会での日経平均株価が3万 8915円の最高値を打ちます。1990年は5万円、数年で10万円といった強気の見通しが市場を覆っていましたが、年明けから相場は崩れ、1990年1月だけで株価は1727円も下落します。株価の後を追うように不動産価格が暴落します。

不動産や建設、金融の業界で名を知られたいくつかの企業が破綻しました。北海道拓殖銀行や山一證券が消滅しました。しかし、米国のように業界に君臨するトップ企業が壊滅するという状態ではありませんでした。

財テクに距離を置いていた製造業の多くは、持ちこたえていました。「失われた10年」という言葉はこの時代を捉えたものですが、多くの企業は緩やかに成長していました。企業活動のマクロ的集計値であるGDPも1988年の394兆円から1998年には528兆円に増加していたのです。

1998年の中国のGDPは129兆円で日本の4分の1にも及ばない水準でした。韓国のサムスン(三星)電子は、韓国をベースとするローカル企業でした。1990年代はその後、大きく発展する新興企業が胎動を始めた時代でもありました。

山口県に本社を持つファーストリテイリングは1992年から9年の6年間で売り上げを200億円から800億円に4倍増し、東京への進出を狙っていました。京都の日本電産が小型モーター市場で活躍を始めています。売り上げは、東京のマブチモーターと並んで約1000億円の水準でした。

ソフトバンクは1994年に日本証券業協会に店頭登録し、200億円を調達します。1996年にはインターネット元年と称し、ヤフー(現Zホールディングス)を設立します。日本興業銀行の社員であった三木谷浩史氏は1997年に楽天を創業します。楽天だけでなくDeNAやサイバーエージェントも活動を始めます。

当時、米国人が語っていた言葉が思い起こされます。「日本は大変だというが米国の企業は日本の企業の10倍苦しんでいる」「日本の株価が下落しているといっても米国の1987年10月のブラックマンデー(暗黒の月曜日)では2245ドルのダウ平均が1日で1738ドルに下がった」。

そのときはあまり意識しなかったのですが、その後、時間が経過するなかで日本の多くの企業は1990年代にもっと苦しみ、米国の企業のように捨て身の改革に挑んでいれば、今の景色は違ったものになったと思うのです。

 





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AIとは何か
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/22(木) 17:01
No. 7569
 
 
なぜこんなにもAIを訓練するのに労力が必要なのか。簡単に言えば「入力されたデータをソフトウェアの判断で出力するシステム」のことです。要するに「入れたものを検索して出す」というコンピュータの基本そのものです。

ただしそのソフトウェアには従来よりもはるかに発達した。計算式(アルゴリズム)が組み込まれていて、洗練された答えが出るようになっています。ようするに人間の知能を、コンピュータを用いて人工的に再現したものという意味で理解されています。

さらに機械学習(マシンラーニング)という機械がさまざまなデータを学んで規則づけする仕組みがあります。そしてまた、自然言語解析(ナチュラルランゲージプロセッシング)といって、入力された言葉を自動的に分析し答えに対して適切な回答を出す、といった仕組みも含まれています。

ところがAIは、ものすごく賢い計算式で、答えを出すには入力が必要です。1+1=2の答えを電卓で出すには「1+1」と入れなければなりません。それ以上にAIはいろいろな処理をしてくれるのですが、それにはたくさんの数式や言葉、人間の歩みなど動画や画像を入れておかなければならないのです。

この入力を自動化できる場合もありますが、いろんな分野では手入力したり、入力した結果を人間が確認したり、入力した情報に意味づけしなければなりません。最近はやりの医療AIで診断する場合、AIは人間の医師ではないので、たとえば乳がん患者の検査結果をいきなり入力されても意味がわかりません。

こういう画像でこういう数値データが入っていたらがんのステージTだよというような情報を事前に入れておかないとAIは判断ができないのです。これまではそういった診療をしていたのが医師でした。

コンピュータのプログラマーや分野が違う事務員の人が乳がん患者の画像や検査結果のデータを見ても判断は不可能です。結局、医師や画像診断をされてきた人が、「情報の分類」「意味づけ」「AIが判断できる情報提供」をしておく必要があります。

それにAIに入力する診断データは膨大なので、診療で超多忙な医師が仕分けをしてAIに入力する作業を延々とするわけにはいきません。それを他の人がやっても人件費がかかります。これはほかの分野でもまったく同じなのです。

 





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指数関数でコロナ禍が分かる
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/20(火) 17:43
No. 7568
 
 
指数関数的な変化にうろたえてしまった典型例の一つが、コロナ禍における感染者数の増加です。 実際に 感染者数がどのように推移したか。日本と米国における新型コロナ感染者数の推移として、感染が拡大しはじめるタイミングが異なっていました。

日本は2020年1月末から、米国は2月末から表示しています。また、4月以降は各国の感染予防策が効果を発揮し始めて状況が変わったので3月末までのグラフを発表しています。発表したグラフを見てみると、おおむね直線状に伸びていることが分かります。

感染者数の推移は数学的には指数関数で表されるため、片対数グラフで見るとおおむね直線になっているのです。感染者数の推移を表す数式で解くと感染者数が指数関数的に増えるという結果が出てきます。詳しい計算は省きますが、ここでは、なぜ指数関数になるのかを簡単に説明したいと思います。

1人の感染者が他の人に感染を広げてしまうとき、その平均人数を「再生産数」といいます。例えば、1 人の感染者が平均して2人に感染させてしまうとき、再生産数は2です。コロナ感染者が、同じコロナ感染者を再生産してしまうというイメージです。

再生産数が2、感染してから平均5日で他の誰かに感染させるとします。すると、感染者数は5日ごとに2倍になっていきます。少し前に書いた日記のドラえもんの栗まんじゅうの例では、個数が5分で2倍になりました。5分か5日かという期間の違いはありますが、一定期間ごとに2倍になるという点では同じです。

このことから、感染者数の推移は指数関数で表せるという仮説を立てることができます。もちろん、実際の感染者数の推移には、様々な要因が影響してくるでしょう。国の感染症対策、マスクをつける習慣、免疫の特性、年齢構成、ワクチンの普及(実際はさらにスパイクたんぱく質により感染者を増やした)等々、数え上げれば切りがありません。

しかし、理系的思考の本質は「シンプル・イズ・ベスト」にあります。シンプルに考えることで、本質が見えてくるのです。指数関数に従うという仮説に基づけば、勢いがゆっくりであるうちに対策しておかないと、あとで大変なことになると予測できますし、だからこそ、各国の専門家が警鐘を鳴らして いたのです。

日本での報道を振り返ってみると2020年3月に入って「急増」という報道が増えました。グラフを見てみると、もっと前の2月中旬あたりから指数関数に従って感染者数が増えていたことが分かるのです。感染を警戒している人が少なかったころから指数関数的な増加が始まっていたというわけです。

 





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人類を翻弄するスピード狂
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/20(火) 17:38
No. 7567
 
 
爆発的な変化を理解するのに不可欠な「指数関数」についてです。私たちが世の中の急激な変化に直面したとき、その背後に指数関数が隠れているケースが非常に多いのです。コロナ禍やシンギュラリティ(技術的特異点) など、変化のスピードが非常に速い出来事の核心には、指数関数があります。

指数関数は、いわば人類を翻弄する「スピード狂」のような存在です。指数関数は、「掛け算」を深く追究することで生み出された関数です。理解のために、ドラえもんのひみつ道具 「バイバイン」 (てんとう虫コミックス『ドラえもん』 第17巻、第1話)に登場してもらいましょう。

バイバインは液体状の薬品で、何かに振りかけると、それが5分ごとに2倍の数に増えていくというものです。のび太君は、栗まんじゅうを食べてもなくならないようにできないかとドラえもんに相談し、バイバインを出してもらって栗まんじゅうに振りかけました。

すると、栗まんじゅうが増えていくので最初は喜んだのですが、途中から食べきれなくなってごみ箱に捨ててしまいます。それを知ったドラえもんは大慌てになりました。なぜ慌てたのでしょうか?具体的に、栗まんじゅうがどれくらいの勢いで増えていくか。

最初は1個だった栗まんじゅうは、5分後に2個に増えます。そして10分後には、2個ある栗まんじゅうのそれぞれが2個に分かれるので、合わせて4個 (2×2=4) になります。15分後 には、4個ある栗まんじゅうのそれぞれが2個に分かれるので、合わせて8個 (2×2×2=8) になります。

8個くらいならのび太君でも食べられそうですが、ここからが問題です。5分経過するごとに栗まんじゅうは16個、32個と倍々ゲームで増えていくので、その個数は急激に増加していきます。

計算してみると、たった2時間半で約10億個に達し、5時間で約100京個を超えてしまうのです(京は、1のあとにゼロが16個続く数)。のび太君の胃袋に収まり切らないどころか、地球を埋め尽くしてしまいます。

急激に増えていくのは、考えてみれば当たり前の話です。栗まんじゅうが4個しかないときは、2倍しても4個しか増えません (計8個になる)。 しかし、栗まんじゅうが100京個に達すると、2倍したらさらに100京個増えて約200京個になります。増え方が増えるので、急激に大きくなっていくのです。コロナ禍で知られた恐怖の概念なのです。

 





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統計学者ナイチンゲール
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/19(月) 17:04
No. 7566
 
 
俯瞰力を発揮することで、人間の知性の限界を超えた事例があります。近代看護の生みの親ともいわれるナイチンゲールは、実は統計学の専門家でもあり、英国王立統計協会の史上初の女性会員に選ばれるほどの実力を持っていました。

彼女が統計学の知識を活用したのは、もちろん医療の世界です。ナイチンゲールは、看護師団長としてクリミア戦争に派遣されたとき、英国軍の負傷者や戦死者についての膨大なデータを収集し、統計学を駆使して分析しました。

その結果、戦争による直接の死者よりも病院の劣悪な衛生環境による死者の方が圧倒的に多いことを突き止めたのです。例えば、当時は包帯を使い回すことが当たり前のように行われていましたが、新しい包帯を使った患者と使用済みの包帯を使い回した患者では、その後の死亡率が明らかに異なることが分かりました。

このことから新しい清潔な包帯を使うことによって、患者の死亡率を下げることができたのです。さらには病院のトイレ掃除や衣服の洗濯も含め、あらゆる衛生環境の改善に努めた結果、40% 超だった死亡率を5%まで下げることに成功しました。

ナイチンゲールの時代には、身の回りや医療器具を清潔に保つとなぜ死亡率が下がるのか、その原理は分かっていませんでした。現代でこそ、不潔な環境には目に見えない病原体がまん延していることは常識として知られています。

そういうことが分かっていなかった時代に、患者のデータだけから正しい道筋に至ることができたのは、彼女が統計学者だったからに他なりません。統計学を駆使することで、たとえ事象の背後にある真のメカニズムが分からなかったとしても、実用に耐える仮説を作ることができるのです。

現代における統計学の応用例として、新薬の検証で見ることが出来ます。新薬の開発には長い時間がかかり、費用は数百億円にも上ると言われます。それだけ莫大な時間と資金を使う上に、人体に使用するものですから、本当に効き目があるかどうかの検証は慎重に行わなければなりません。そのために採用されているのが「ランダム化比較試験」です。

この試験では、患者をランダムに2つのグループに分け、一方には新薬を、もう一方には全く同じ見た目の偽薬を処方します。ちなみに偽薬としては、無害な物質であるブドウ糖などが使われることが多いようです。

なぜ一方のグループに偽薬を処方するかというと、有効成分が入っていないにもかかわらず、薬だと信じ込むことで本当に症状が改善する場合があるからです。これは「プラセボ効果」と呼ばれていて、一部の患者に発生することが知られています。

薬は大なり小なり副作用を伴いますから、プラセボ効果と同程度にしか症状が改善しないのであれば、わざわざ新薬を処方する必要はありません。そこで、偽薬を処方されたグループと本物の新薬を処方されたグループの経過を比較することで、新薬の効果を確かめるのです。

 





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キリスト教が広がったのは
   投稿者: 仲條拓躬    
2024/08/19(月) 17:03
No. 7565
 
 
紀元後の人類史といえば、イエス・キリストです。イエスは何をした人かというと、ユダヤ教の改革者でした。イエスについてはクリスチャンギリシャ語聖書のほとんどがパウロが伝えたものです。

パウロはもともとユダヤ教の熱心な信者で、キリスト教徒を迫害していました。それがあるとき、奇跡のような体験をしてイエスの衣鉢を継ぐまでに変わったというのです。有名な「パウロの回心」です。でも実際には、何かのきっかけで人生が劇的に変わる人なんてほとんどいないもので、うらやましいです。パウロはエルサレムに入れませんでした。

イエスの弟がエルサレムで小さい教団を持っていて、かつてキリスト教を迫害していたパウロを受け入れなかったのです。そこでパウロは、エーゲ海周辺の都市を布教して歩きました。パウロはユダヤ人ですから、都会が大好きなユダヤ人に説教していったのです。

都市にはもともと、ギリシャ人が多くいます。パウロは、ギリシャ人にも教えを説きました。イエスはアラム語で説教をしましたが、パウロは、コイネーと呼ばれるギリシャ語で説教していました。共通語を使っていたので、ユダヤ人でない人でもみんな、わかるわけです。キリスト教が広がった理由は、ここにあります。

パウロが語り継いでいったイエスの教えですが、イエスが死んでから半世紀後ぐらい、紀元1世紀の終わりごろに、新約聖書が書かれるようになります。マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる4つの「福音書」です。紙に書かないものは消えてしまうということです。

キリスト教がギリシャに広がったころ、インドでは、大乗仏教運動が起こりました。バラモン教は仏教によって都市を追われました。それで農村に逃げていったのですが、農村では誰も字が読めないし、高尚な理屈を説いてもわかりません。

そこで泥で人形をつくり、「これはシヴァ神で、シヴァ神万歳といったら救われる」と教えました。わかりやすくしたのです。こうして生まれたのがヒンドゥー教です。わかりやすいので、農村から都市に出稼ぎにきた人々によって、都市に逆流します。

宗教は、わかりやすい方が勝つのです。すると今度は、仏教徒が焦ります。一部の人たちは、勝手にお経を書き始めました。「お釈迦様 (ゴータマ・シッダールタ)は、本当はこういっている」と。こうして様々なお経ができました。宇宙と人間の一体を説く華厳系や、西方極楽世界の存在をうたう浄土系などのお経です。

仏教徒はさらに、ヒンドゥー教のまねをしました。ヒンドゥー教で人気の神様といえば、変幻自在のヴィシュヌ神です。このアイデアを借用してつくられたのが、馬頭観音や千手観音など、さまざまな姿に変身する観音菩薩だといわれています。こうしてヒンドゥー教に刺激されて、よりわかりやすくシンプルな大乗仏教がつくられ、広まっていったのです。

 






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