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2011年の福島原発事故のとき、当初は放射性物質の一種であるヨウ素131による汚染が大々的に報道されましたが、次第にセシウム137等の別の放射性物質がクローズアップされるようになりました。
なぜ時とともにクローズアップされる放射性物質が変わったかというと、そこに指数関数が関わっています。放射性物質はずっと同じレベルの放射線を出しているわけではなく、時間の経過とともに放射線量は減っていきます。
目安として放射線量が半分に減るまでの期間を「半減期」と呼びます。つまり、半減期が過ぎたら放射線量は2分の1になり、半減期の2倍の時間が経てば、放射線量は4分の1になります。そう考えると、放射線量は次のように指数関数で表すことができます。
〈放射性物質が出す放射線量の数式〉 放射線量=事故直後の放射線量×(2分の1) (※「経過時間」は、事故発生直後からの経過時間を意味します) 放射性物質の種類によって半減期は大きく異なります。
例えば、ヨウ素131の半減期は8日ですが、セシウム137の半減期は30年です。この点を考えると、先ほどの報道の謎が解けます。一般に、原発事故が起きた直後は、ヨウ素131が最も多く放出されます。
それに比べるとセシウム137の放出量は少ないですが、ヨウ素131の半減期は8日なので、放射線量は約3ヵ月もすれば1000分の1になります (2(10乗)=1024なので、80日で1024分の1になる)。
一方、セシウム137の放射線量は、30年経ってやっと半分にしか減りません。放射線量がなかなか減らないので、時間が経つとセシウムの方が厄介者になるのです。
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