|
Twitter (現X)買収の裏側とイーロン・マスクの野望の中で近年のもっとも大きな事件のひとつはイーロン・マスクによる Twitter (現X) の買収でした。いまや日本だけではなく、アメリカやヨーロッパ、そして発展途上国であっても大きな影響力を持つのは新聞やテレビなどの媒体よりもソーシャルメディアなのです。
特にそのなかでも影響力の高いサービスが「X」なのです。イーロン・マスク氏がなぜそんなにXにこだわるのかをTwitterの歴史から読み解いてみるとXがソーシャルメディアのなかでもっとも強烈な世論形成ツールである理由はその設計思想によるものです。
もともと若い時に企業向け書類等の配送人をやっていた創業者のジャック・ドーシー氏は、顧客がどの時間帯に配送物を受け取ることができるのか、ほかの配送人はどこにいるか、荷物はどこにあるのか、現在の交通状況はどうなっているのか、ということがリアルタイムでわからず頭を悩ませていました。
1990年代のアメリカには、これらを知ることができる使いやすい手段は存在していませんでした。顧客にはいつ荷物が届くかわからなかったし、日本の宅配便のような細かい配送時間指定サービスや再配達サービスなどもなかったのです。
携帯電話を使えばよいのではないかと指摘する人もいるかもしれないですが、携帯電話サービスは日本より遅れている有様でした。これは実際に留学を体験していた方が、通信が途切れたり不通になることは日常茶飯事で携帯電話のメッセージサービスであるSMS(ショートメッセージサービス)は大幅に遅延したり届かないことが頻繁でした。
これではまったく業務に使うことができません。アメリカは日本よりもはるかに国土が広いため、携帯電話を含め通信には大変な労力とコストがかかります。通信インフラは気温や天候の影響も受けますが、アメリカは気候が厳しいところも少なくないのです。
アメリカはこのような通信環境に直面していたので、ドーシー氏はSMSのように気軽に使えて、リアルタイムでちょっとした通知を多くの人に拡散できるサービスがあったらいいのではないかと考え、当時普及しはじめていたインターネットを使ってサービスを提供することを設計したのです。
仲間たちはアイデアを気に入り、電子的な音楽ファイルを共有するサービスを考えていましたが、これが発展し 「Twitter」 となったのです。
|
|