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日本で洋上風力の時代が確実に来ることを見越して動いていた企業があります。それが、再エネベンチャーのレノバです。2000年に環境・エネルギー分野のコンサル企業として創業したレノバは、2012年の「再エネ特措法」を契機に再エネ発電事業に本格参入し、太陽光や風力、バイオマスでの発電所設置の実績を着実に積み上げていきました。
今や脱炭素の期待も相まって、時価総額は地方電力を超える約4000億円に上っています。そんなレノバが洋上風力を検討し始めたのは、2015年にさかのぼります。この年、秋田県でバイオマス発電事業に出資し、地元との関係を深めるなかで、由利本荘市沖の洋上風力のポテンシャルを活かすためにいち早く動いたのです。
2017年には、このエリアに66万キロワット分の洋上風力を建設するべく、JR東日本系の企業らと3社で地元への協力要請を提出しています。当時は、洋上風力はFIT(再エネの固定価格買取制度)の対象にこそなっていました。政府の長期ビジョンもなかったため、前例のない大規模な工事が必要とされる洋上風力の案件はリスクだらけでした。
「まだ上場する前で、売上高も数億円程度のベンチャーが、事業規模が1000億円単位に上る洋上風力に挑戦していく意思決定は、社内でも議論を呼びましたし、逆に言えばそれだけ洋上の時代を確信していたということです」と当時の幹部は振り返えっています。
2018年3月、レノバの木南陽介社長は取材に対し、洋上風力発電への参入の理由について、「風が吹くエリアが限られている日本で、発電量を増やすには陸上だけでなく、洋上を活用しないといけない」と語った上で、前例のない挑戦についてこう話しています。
「確かに日本では初めてですが、風車自体は世界から調達をすれば作れてしまう。北海ではもう3000本くらい建っているように、すでに存在しているものですから。むしろ施工するのが大変で、水深100〜300メートルくらいのところに、高さ200メートル近い巨大構造物をいくつも建てるという大規模工事は、大型の海洋土木工事と考えてもらった方がいいです。」
「ただ、それでもやはり世の中で初めてではない。そこが重要なのです。欧州では3000もすでに建てられていて、そのノウハウはあるわけですから」それから3年が経ち、ようやく国が洋上風力に本腰を入れ始めた。
これは、政府による長期ビジョンの策定という意味では、レノバにとって大きな追い風といえますが、一方で、政府のコミットメント強化による逆風もあります。政府が洋上風力の「促進区域」を設定することで、その区域を30年間占用する発電事業者を公募する仕組みを取ったためです。
つまり、実際の事業開始には、政府の入札を勝ち抜かなければいけなくなったのです。今や、レノバが取り組む由利本荘沖の2区域を含め、促進区域に設定された4区域は、電力会社や商社、大手ゼネコン、さらにはオーステッドのような外資までも入り乱れて名乗りを上げる混戦状態となったのです。
例えば由利本荘沖だけでも、@レノバ、東北電力など4社、A中部電力、三菱商事系ら3社、B九州電力、独RWE系連合、Cオーステッド、日本風力開発ら3社、DJERA(ジェラ。東電・中部電の火力統合会社)、ノルウェーのエクイノールら3社など、これでもかとばかり大手企業が公募に参加しています。
他の2区域でも、また違う組み合わせで参入企業が入り乱れており、外資系メーカー幹部が「ここまで日本のエネルギー会社が本気で勝負しているのは見たことがない」というレベルだといいます。
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