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日本でも海外でもここ最近AIが大きな話題になっています。需要はうなぎのぼりで導入する企業や組織も続々と増えており、AI関連の人材は需要拡大で最高潮です。もちろん給料も上がる一方です。
たとえばAIで最先端をゆく「OpenAI」では、2023年の上半期におけるエンジニアの給与は驚くべきものです。中央値で3万米ドル、日本円でおよそ1.4億円、新卒や経験が浅い若者でも50万ドル(約7500万円)を超えているのです。これはシリコンバレーの他社と比べてもかなり多い額です。
小・中学生に大人気のユーザー作成型ゲームのプラットフォームを提供するロブロックス(Roblox)はシニアエンジニアの平均年収が3万ドル(約5550万円)、さらにGoogleはボーナスや株での報酬が多いといってもシニアエンジニアの年収中央値は3万ドル(約5400万円)であり、日本の大企業における取締役の一般的な給料をはるかにしのぎます。
いま若かったらAI関連のエンジニアになっていればよかったなぁと思う方が多いでしょう。日本のデスマーチ続出のIT業界とは天と地の差があります。そんな快進撃を続けるAIですが、最近は思ったほどすごくないということがわかってきました。
もっとも大切なことは、AIは学習と出力に莫大なエネルギーが必要だということです。AIには利点もありますが、エネルギー効率の観点でみると生産性を上げるとはいえません。この点はコンピュータがどのように動き、どの程度の電気を使うのかというハードウェアの知識がない人は気がつかないことです。
たとえばマサチューセッツ大学アマースト校の2019年に発表した論文によると、ひとつのAIモデルを実務で使えるように訓練するために、26万4千キログラム(6万6千ポンド)の二酸化炭素を排出することがわかりました。
これはあくまでひとつのAIモデルが実務で使えるようになるまで、膨大な量の言語を読み込ませてデータを学習する最小限の作業をした場合です。それは平均的なアメリカの車5台が生涯に排出する二酸化炭素の量とほぼ同等になります。
そのような莫大な量の二酸化炭素を排出するようなコンピュータのパワーを使うので費用もそれなりにかかるのです。しかもこういったAIにデータを読み込ませて使えるようにする作業の多くを世間は大学の研究者に頼っています。
しかし研究が進むにつれ、より多くのデータを読み込ませて学習させなければAIは使い物にならないことがわかってきたのです。ところが現在、先進国の多くの大学では大幅な予算カットの機会にさらされており、予算が潤沢にある大学はアメリカでもかなり裕福な私立の大学やごく一部の州立大学に限られています。
なおかつ大学の研究者のキャリアはたいへん不安定で、お金があるアメリカでも終身雇用が確保できる研究者は多くありません。これはヨーロッパでも似ているところがありますが、大学の研究者の給料が安すぎるので民間に移ってしまう人があまりにも多いのです。
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