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  光速が有限である素晴らしさ  仲條拓躬2025/04/14(月) 19:19 
  遠く離れた銀河の現在は  仲條拓躬2025/04/14(月) 19:16 






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光速が有限である素晴らしさ
   投稿者: 仲條拓躬    
2025/04/14(月) 19:19
No. 7805
 
 
宇宙を「時空」すべてを包括する普遍的な一種の格子で、そのうち三つの次元が空間にあたり、残る一つの次元が時間に対応するものの中に存在するものとして考えるとき、過去と未来は、宇宙の中でその誕生直後から終末にまで伸びている一つの構造の上で、遠く離れて存在する二つの点と考えることができるといいます。

この構造の上で、我々とは異なる点に座っている人物にとっては、我々にとって未来に属する出来事が、遠い過去のことである可能性もあります。そして、数千年後にならないと我々には見えない出来事からの光は、「いま」すでに我々に向かって時空を横切って移動しているのです。

それは、未来の出来事なのか、それとも過去の出来事なのか、どちらだろう? あるいは、もしかするとその両方なのか? すべては、どの視点から見るかに依存するのです。三次元の世界で考えることに慣れている人には、これは驚くようなことでしょう。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、ドクことブラウン博士が「お前は四次元で考えていないのだ!」といったのは、あなたに向かってだったのです。天文学者にとっては、光速が有限であることは素晴らしく便利なツールになるといいます。

それは、宇宙の遠い過去について、手がかりに過ぎないもの。その痕跡や残骸を探すのではなく、それを直接観測し、時間の経過にともなう変化も見守ることができるということを意味します。

我々は、たった30億歳の、恒星形成のルネサンスのさなかにある宇宙を見つめることができます。そのころ、あちこちの銀河はどれも光であふれているのですが、それが現代にいたる数十億年のあいだに徐々に暗くなる様子も観察できます。

さらに遠い昔を見ることも可能で、銀河と銀河のあいだの暗闇を恒星の光がようやく突き抜けはじめた、5億歳にもなっていない宇宙の中で、あちこちの超巨大ブラックホールの中に物質が渦を巻いて吸い込まれていく様子が観察できます。

まもなく、新しい宇宙望遠鏡を使って、宇宙で最初に生まれた銀河宇宙がたった数億歳だったころに形成された銀河のいくつかを観測できるようになるでしょう。だが、もしもこれらの銀河が最初にできたのだとしたら、それよりもさらに昔を覗き見たら、どうなるのだろうか?まだ銀河など一つも生まれていない時代まで見ることができるのだろうか?

それを目的とする計画がいくつか存在します。現在建設中の電波望遠鏡では、最初の銀河が、光と水素の偶然の相互作用を利用して生まれたときに、源となった物質を見ることができるかもしれません。やがて恒星や銀河になる物質、すなわち水素を直接観測することで、宇宙で最初の構造が形成されるのを見守ることができるでしょう。

だが、それよりもなお遠い過去を見てみると、どうなるのだろう? 恒星や銀河、水素が登場する以前の時代を見てみたら、何が見えるのだろう? ビッグバンそのものが見えるのだろうか?もちろん、見えるでしょう。

「ビッグバン」を見るビッグバンは、一種の爆発のようなものとして描かれることが多いたった一つの点から突然、光と物質が火の玉状に膨張しはじめ、怒濤のように宇宙全体へと広がった、というイメージです。だが、実はそうではないといいます。ビッグバンは宇宙の中で起こった爆発ではなく、宇宙の爆発だというのです。

また、「たった一つの点」で起こったのではなく、すべての点で起こった。現在の宇宙の中に存在するすべての点遠方の銀河の端に存在する一つの点、逆方向の同じくらい遠方の銀河間空間の一部分、そして、あなたが生まれた部屋、これらのすべての点は、その一つひとつが、時間が始まった瞬間には、触れ合うほど接近していたが、まさにこの最初の瞬間に、急速に互いに遠ざかりはじめた。ビッグバンの理屈はいたって単純です。

宇宙はたしかに膨張している銀河と銀河のあいだの距離が徐々に大きくなっているのが観察されるということは、銀河間の距離は過去においては短かったわけです。思考実験として、今日起こっている膨張を巻き戻して、百数十億年の時間を遡ってみると、銀河間の距離がゼロだったはずの瞬間にいたるのです。

現在の我々が観察できるすべてのものを含んだ観察可能な宇宙は、はるかに小さく高密度で、高温の空間に閉じ込められていたはずです。しかし、観察可能な宇宙は、広大な宇宙のうち、我々がいま見ることのできるほんの一部でしかないのです。

宇宙がそれよりもはるかに広がっていることはわかっています。実際、現在の我々の知識に基づいていえば、宇宙の大きさは無限である可能性があり、おそらくそうであるらしいのです。だとすると、宇宙は最初から無限大だったのでしょう。ただ、もっと高密度だったのでしょう。

 





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遠く離れた銀河の現在は
   投稿者: 仲條拓躬    
2025/04/14(月) 19:16
No. 7804
 
 
私は、タイムトラベルの物語が好きです。描かれているタイムマシンの物理学にはついついケチをつけたくなるし、ストーリーの中で出現するさまざまなパラドックスにはいくらでも疑問があります。

そうやって、「間違っている」と片付けるのは簡単ですが、過去と未来を開放して、それを知り、それに介入できるようにする技を、どうやってかはともかく、見出せるかもしれないと考えるのはなかなか魅力的です。

そんな技が実在すれば、この「いま」という、未知の運命に向かって容赦なく突進する暴走列車から降りることができることでしょう。線形的な時間は、あまりに制約で、浪費的にすら感じます。

どうして時間というもののすべて、これらのさまざまな可能性のすべてが、時計の針が2〜3度先に進んだだけで、永遠に失われなければならないのだろう? 時間という厳格な制約にもはや慣れっこになってしまったとしても、それを嬉々として受け入れなければならないわけではないでしょう。幸い、ここで宇宙論が役に立つのだと思います。

もちろん、実際的な意味においてではない。物理学のなかでも難解な部類に入る一分野について話をしていることには変わりなく、昨日電車に置き忘れた傘を宇宙論が取り戻してくれるわけではない。「役に立つ」というのは、自分の暮らしは少しも変わらないのですが、存在に関する他のすべてのことは永遠に変わってしまう、という意味においてでしょう。

宇宙論研究者にとって過去とは、「失われてしまって決して手が届かない領域」などではないといいます。それは実際の場所であり、宇宙の観察可能な領域で、私たちが出勤日のほとんどを過ごすところです。

私たちは静かにデスクの前に座ったままで、数百万年、あるいは数十億年も昔に起こった天文学的事象の展開を見守ることができます。そしてこのからくりは、宇宙論だけのものではなく、私たちが暮らしている宇宙の構造に本来備わっている性質なのです。

それはつまるところ、光が進むには時間がかかるという事実からきています。光速は途方もなく速いです。およそ秒速30万キロメートルが、決して瞬間移動ではないのです。日常的な言葉で説明すると、こうなります。

懐中電灯をつけると、そこから出てくる光は、1ナノ秒ごとに約30センチメートル進むのですが、その光が、あなたが照らしている相手から反射して、あなたの下に戻る際にも、まったく同じように時間がかかるのです。

実際、あなたが何かを見ているとき、あなたが見る像は、対象物から反射して目に届いた光に過ぎないのですが、その光は目に届くころにはすでに少し古くなっているのです。カフェで、あなたとは反対側の隅に座っているあの人は、あなたの視点から見ると、数ナノ秒の過去にいるのです。

その人の表情が物憂げでファッションセンスが流行遅れなのも、それで少しは納得できるかもしれません。あなたが見るすべてのものは、あなたからすれば、過去にあるのです。あなたが月を見上げるとき、1秒と少し前の月の姿を見ています。

それが太陽なら、8分以上前の姿です。そして、夜空に見える恒星は、数年から数千年前の遠い過去の姿です。光速が有限であるために生じるこのような遅れについては、もうすでにお気づきかもしれないが、それが意味するところは重要です。それは、天文学者は、空をじっくり見ることで、宇宙の進化が起こるのを観察できるという意味なのです。

誕生直後の初期から、現在にいたるまで。天文学で「光年」(約9兆5000億キロメートル)という単位が使われるのは、それが非常に大きくて便利だからというのみならず、観察している対象物からの光が、どのくらいの時間をかけて宇宙を伝わってきたかを教えてくれるからです。

10光年離れた恒星は、私たちの視点からは10年昔の姿です。100億光年離れた銀河は、100億年昔の姿です。宇宙は約138億歳にすぎないので、その100億光年離れた銀河は、宇宙がまだ若かったころの状態を教えてくれる可能性があります。

その意味で、宇宙を遠くまで見ることは、私たちの過去を覗き見ることに等しいのです。ここで、理屈からして、私たちは自分自身の過去を見ることは絶対にできないというのがそれです。

光速が有限であるがゆえに遅れが生じるという事は、対象物が遠いほど、それは時間的にも遠い過去にあるということであり、この関係は厳密です。つまり、私達は「自分自身の過去」を見ることが出来ないのみならず、「遠く離れた銀河の現在」をみることも出来ないのです。何かが遠ければ遠いほど、宇宙の時間軸の上でも、それは遠い過去にあるのです。

 






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