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突然死する危険がある二つの病気は、大動脈瘤破裂や、急性大動脈解離です。大動脈は、心臓から全身に血液を送り出す重要な役割を担っている血管です。その大動脈が、動脈硬化や外傷などによって一部が膨らみ、「こぶ」ができてしまうのが大動脈瘤です。
食生活の欧米化や高齢化社会の加速により、患者が増えています。こぶがそれほど大きくなければ問題ありませんが、急激に膨らんで破裂すると突然死する可能性が高くなり、救急搬送されても1〜2割程度しか助かりません。
破裂は「大動脈瘤破裂」、大動脈が裂けて解離した場合は「大動脈解離」と呼ばれます。どちらも大出血の危険があり、一度目の発症で突然死するケースも少なくありません。こうした大動脈の病気が怖いのは、多くの場合で自覚症状がないことです。
そのため、それまでは元気だった人が、突然、大動脈瘤の破裂や解離を起こして亡くなってしまうケースが起こるのです。大動脈の病気による突然死を防ぐためには、「高血圧」を放置しないことが重要です。
突然死を起こす人は高血圧の人が多く、手術が必要になるくらい病状が進行してしまう患者も、血圧が高い場合がほとんどです。血圧の高い人は「こぶ」ができている可能性はあるのです。
つまり、血圧が高い人は、自分では気づいていなくても、大動脈にこぶができている可能性が高くなるといえます。健診などで血圧が高いと指摘されている人は、薬を飲んだり生活習慣を見直したりして、きちんと血圧をコントロールするだけでなく、早めに心臓CT検査を受け、自分が大動脈瘤ではないかどうかをチェックしておいたほうがいいでしょう。
こぶが見つかった場合、胸部で5・5センチ未満(場合によっては4・5センチ未満)、腹部で5〜6センチ未満なら、生活習慣を改善しながら経過を観察するのが一般的です。それ以上にこぶが大きい、または大きくなった場合は、ステントグラフト(人工血管の中に金網を入れたもの)を動脈内に留置して破裂を防ぎます。
「ステントグラフト内挿術」という内科治療や、こぶがある場所の血管を取り換える「人工血管置換術」という外科手術を行います。ただ、これらの治療は早期に行っても、あとから行っても内容は一緒なので、治療によって生活の質を損なうことがなければ、早めに治療を行うケースも最近は増えてきています。
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