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プルトニウム・天然ウランの全面使用禁止を目指しましょうと言っても簡単なことではなく、今後、大きな課題です。アメリカ国防総省諮問委員会は、これから最も警戒すべきは、「核を含む大量破壊兵器による国内におけるテロ集団による壊滅的な攻撃である」という報告を出しました。
ノーベルが問題提起して以来、科学技術は常に戦争を助長するような手段のみを提供し続けていたのではないでしょうか。科学技術が先導する積極的な方策を、今こそみんなで考え提供すべき時だと思います。プルトニウム問題の具体的な打開策として、一般に言われているのは、次のような手段があります。
(1)「核兵器用の核物質を排除消滅させる」この論議はソ連崩壊後に始まりましたが、難問続出です。まず、核弾頭を全部廃棄するという国がない。その焼却消滅法も定かでありません。一部の人は既存の原発を利用して焼却しようといいますが、ウラン燃料炉で燃やすのであれば、プルトニウムはなくならないのです。
(2)「現存の民需用プルトニウムの利用も停止し、消滅させる」次第に法的にその停止・消滅を決める国も出ていますが、それを世界に拡張するのは容易でない。日本の実情を見れば明白です。「高速増殖炉開発を止め、再処理を止めろというのか」と猛反発する人が出てくるからです。
少なくとも、増えつつあるアジアの原発からの使用済み燃料でさえ、すでに行き場がありません。未処理で貯蔵された使用済み核燃料は、500年以内にプルトニウム鉱山になり簡単にプルトニウムが取り出せるのです。
(3)「使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムは消滅させる」これも、さらに矛盾を増大させ、核拡散防止作業を膨大にするだけです。アメリカ・ドイツ・スウェーデンその他の国は法的に再処理を禁止しています。既存の再処理技術では高くついて、どこも実行しないでしょう。
少なくとも(2)と(3)の矛盾は自明です。化学再処理して処分する他はないのに行えない。だれが見ても、現在規模の核エネルギー産業では環境対策にも決定的に役立つ訳ではなく、既にこの産業の未来はないのに、ただ現状の矛盾を隠して、今を生きているのです。
核拡散防止条約(NTP)という五大核大国のエゴの下に立ちすくみ、インドやパキスタンなどに対し「正義」さえもかざせないまま、万事を先送りしています。専門家の間では、NTP保全のための核物質安全保障措置は、技術的・経済的に行き詰まりつつあるとの意見が強いのです。
日本の学者が提示したいとしているプルトニウム問題の具体的解決策があります。難しくてよく理解できないのですが、以下のとおりです。
(A)溶融塩炉FUJI-Puを完成させる。それを用いて軍用ないし民需用のプルトニウム(高純度のウラン235も)を燃やして発電しつつ、ウラン233を生産する。
(B)並行して既存炉からの使用済み固体核燃料を、乾式フッ素化法FREGATE方式工場を準備してすべて化学処理し、プルトニウムを含む溶融塩核燃料を準備する。
(C)それをFUJI-Puないし加速器溶融塩増殖炉などで完全に燃焼処理しつつ、ウラン233を増やして次第にトリウム溶融塩核燃料サイクルに移行し、FUJI-U233による発電を行う。これにより、自然に「プルトニウムの全面使用禁止」の状態を実現させる。
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