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アンドロメダ銀河と天の川銀河の衝突合体(ミルクドロメダ銀河の誕生)が太陽系に直接の影響を及ぼす可能性は低いといいます。しかし、宇宙全体の収縮が始まれば、それとはまったく違う話になります。最初は、ほとんど同様に見えるかもしれません。
銀河同士が衝突して構造が変化し、新しい恒星とブラックホールが誕生し、恒星系のなかには銀河の外に放り出されるものもあるでしょう。しかし、やがて、何かまったく異なることが起こっていることが次第に明らかになり、ゾッとするに違いないでしょう。
銀河と銀河の距離がますます縮まり、合体がより頻繁に起こるようになると、天空一面の銀河たちは新たに生まれた恒星の青い光で満ちあふれ、粒子と放射の巨大噴流が銀河間ガスを引き裂くでしょう。
これらの新しい恒星とともに新たな惑星が生まれる可能性もあるし、そのうちのいくつかは、生物が生まれるのに十分に長い時間存続するかもしれない。とはいえ、この収縮し続けるカオス的な宇宙では、恐ろしいほど頻繁に超新星爆発が起こっており、その放射に曝されて、新しい惑星にいたかもしれない生物はきれいさっぱり死滅させられるでしょう。
銀河同士、銀河の中心にある超大質量ブラックホール同士の重力相互作用は激しくなる一方で、恒星たちは元いた銀河から投げ出され、他の銀河に取り込まれるでしょう。しかし、この時点においてさえ恒星と恒星の衝突は稀で、収縮の終盤になるまでそれはほとんど起こらないと考えられています。
恒星の破壊は別のプロセスで起こるのですが、このプロセスも、惑星上の生物を徹底的に破壊し尽くす。まだ持ち堪えている生物が惑星上にいたとしても。そのプロセスとはこうです。現在進行している宇宙の膨張は、遠方の銀河からの光を引き伸ばし、赤方偏移させているだけではないのです。ビッグバンの残光も引き伸ばし、薄めているのです。
ビッグバンの最も有力な証拠の一つは、十分遠方を見るだけで、それを実際に見ることができるという事実です。具体的にいえば、生まれてまもない宇宙で生み出された光が、かすかな残光にまで薄まったものが、あらゆる方向から来るのが見えるのです。
そのかすかな光は、実のところ、宇宙のものすごい遠方の姿が直接見えているのにほかならないのです。そこは非常に遠いので、我々から見れば、まだビッグバンの状態にあるのす。宇宙が始まった初期の高温状態、宇宙全体がまるで恒星の内部のように、プラズマが渦巻く高温・高密度で不透明になっている状態が、そこでは経験されているのです。
実際には138億年前に起こり、とっくに燃え尽きているのですが、その光は今に至るまでずっと進み続けているのです。そのうち、ある十分に遠い領域からやってきた光が、ちょうど今、我々に届いているのです。
我々が今これを、全天に広まった低エネルギーの背景放射(宇宙マイクロ波背景放射)として経験しているのは、宇宙の膨張が光子同士を引き離し、かすかな雑音に過ぎなくなるまで広げてしまったからです。
そして、それがマイクロ波として現れているのは、極度なまでの赤方偏移のせいでしょう。宇宙の膨張は様々なことを引き起こすが、その一つが、ビッグバンの想像を絶する猛火の熱を引き受けて、広げて薄め、単なるマイクロ波の雑音にしてしまうことです。
旧式のアナログテレビなら、ノイズの中に時々紛れているかもしれません。宇宙の膨張が反転するなら、この放射の広がりも反転するでしょう。特にどうという事もない低エネルギーの雑音だった宇宙マイクロ波背景放射は突然、青方偏移しはじめ、至ところでそのエネルギーと強度が上昇し、やがて極めて居心地の悪いレベルに達するのです。
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