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今年も恐ろしく暑かったけれどお彼岸を過ぎたあたりから急激に涼しくなってきました。このまま、12月に入ると一気に寒くなり、冬本番を迎えます。この季節は、心臓疾患を抱えている方はもちろん、高血圧、高血糖、高LDLコレステロールといった心臓の危険因子を指摘されている方は、心臓の冬支度をしなければならないでしょう。
まず、寒くなると血圧が上昇します。体の熱を逃がさないように血管が収縮するためです。血圧が高くなると血管にも大きな圧力がかかり、傷つきやすくなります。その傷からLDLコレステロールが入り込んでプラークを形成し、動脈硬化を促進するのです。
さらに、動脈硬化が進んでいる状態で急激に血圧が上がると、心筋梗塞などの発作を起こして突然死を招くリスクが上がります。普段から血圧を下げる薬を飲んでいる人は、冬になったら、今飲んでいる薬で問題がないかどうかを見直す必要があります。
また、寒い日の早朝は、外の掃き掃除や運動にも気をつけましょう。心臓発作は、早朝や起床直後に起こりやすいというデータがあります。寒い朝、起きてすぐに重い物を持ち上げたり、階段の上り下りをしたり、掃除などで体を動かしたりすると、急激に血圧が上昇し、脈拍が増えて心臓の負荷が上がってしまうのです。
暖かい室内から寒い屋外に出るときはしっかり厚着をする。急に体を動かしたり、力を入れて踏ん張ったりするような行動は避けるようにしましょう。近年、よく聞かれるようになった「ヒートショック」への対策も忘れてはいけません。
ヒートショックとは、寒い屋外と暖かい室内との温度差が10度以上になるような急激な温度変化によって、血圧の急激な上昇や下降が起こり、体に異変をきたす状態です。ヒートショックを起こす顕著なケースが入浴です。
寒い脱衣所で衣服を脱ぐと血圧が上昇し、浴槽で熱い湯につかるとさらに上がります。体が温まってくると今度は下降し、再び寒い脱衣所に出ると急上昇します。短時間でこれだけ急激な血圧の上下動を繰り返すわけですから、それだけ心臓に大きな負担がかかります。
対策としては、脱衣所に暖房器具を置くなどして、入浴前に脱衣所を暖かくしておく。一番風呂は避け、浴室をシャワーでしっかり暖める。湯船に入る前には手や足にかけ湯をし、一気に肩までつからない。自覚症状がないまま動脈硬化が進んでいる人はたくさんいます。
「自分は大丈夫だ」と、甘く考えていてはいけません。年末の大掃除にも危険は潜んでいます。部屋、廊下、トイレ、浴室などの掃除だけでなく、洗濯や炊事、洗車にも注意してください。
まず、拭き掃除や炊事、洗車などで冷たい水に触れるだけでも、心臓には負担がかかります。さらに、水を入れた重いバケツを持って移動したり、濡れて重くなった洗濯物を洗濯かごで運んだりすることでも、血圧は急激に上昇しますので気を付けましょう。
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