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1型糖尿病の最大の特徴は、インスリンが出ないことです。1型糖尿病の人はインスリンの分泌がゼロなので、体の外からインスリンを補充しなければ命を維持することができません。逆に言えば、インスリンさえ適切に打てば、普通の生活を送ることが可能です。
また、以前はペン型の注射器を使って1日複数回自分でインスリンを注入する方法しかありませんでしたが今は、インスリンポンプと呼ばれる小さな装置をつけて皮下に持続的に少量のインスリンを注入する方法(インスリンポンプ療法)もあります。この方法であれば、1日に何度も注射する必要はありません。
2型糖尿病はインスリンの病気というよりミネラルの病気だといいます。1型糖尿病に関しては、完全にインスリンの病気です。1型糖尿病の発症は子どもに多く、GTFが消費されているとは考えにくいからです。では、なぜインスリンの分泌がゼロになってしまうのでしょうか。
2型糖尿病の場合、糖尿病になりやすい体質に、良くない生活習慣が重なって発症するのですが、1型の場合は、生活習慣は関係ありません。インスリンをつくっている膵臓のB細胞が破壊され、インスリンをつくれなくなることが原因です。
膵臓の細胞が破壊される原因で最も多いのは、免疫異常です。本来ならば体にとって害となる異物を捕まえ、攻撃することで体を守っている免疫細胞白血球が、インスリンを異物と認識して攻撃してしまうため、その大本であるB細胞が破壊されてしまうのです。
自己と非自己の区別を間違ってしまうという意味で、1型糖尿病も、関節リウマチ(免疫系が関節内に炎症を起こし、骨や軟骨を壊してしまう病気)などと同じ「自己免疫疾患」と捉えられています。ただし、 なぜ免疫細胞がインスリンを異物とみなし、細胞を攻撃してしまうのか、その理由はいまだにわかっていません。
風邪などのウイルス感染がきっかけとなって1型糖尿病を発症するケースも報告されていますが、その因果関係についてはまだ研究中です。また、1型糖尿病のおよそ9割は、こうした自己免疫の異常によるもの(自己免疫性) ですが、残りの1割は、「特発性」と呼ばれ、原因がわかっていません。
病気の進むスピードも、1型糖尿病と2型糖尿病では異なります。2型糖尿病の場合、気づかないうちに発症し、自覚症状もほとんどないまま、年数をかけてゆっくりゆるやかに進行していくのに対し、1型糖尿病は急激に発症し、急速に進みます。
2型糖尿病では痩せていくのは重症化してからですが、1型糖尿病の場合、インスリンが出ない為に細胞にブドウ糖が取り込まれないので、早い段階から痩せていきます。また、ブドウ糖をエネルギーに変えられないわけですから疲れやすく、血糖が尿として流れ出ていくため「尿の量が多い」「喉が渇く」といった症状も、1型糖尿病でよくみられる症状です。
1型糖尿病は、その進行スピードによって、「劇症1型糖尿病」「急性発症1型糖尿病」「緩徐進行1型糖尿病」の三つに分けられ、なかでも劇症1型糖尿病は発症してから1週間前後でインスリンがまったく出ない状態に陥ります。発症時の平均血糖値は800mほどと高い一方で、HbA1cはそう高くはありません。
劇症1型糖尿病ではほんの1週間ほど前までは血糖値は正常なので、過去1、2か月の血糖値の平均が示されるHbA1cには表れないのです。それだけ急激に発症するということです。この劇症1型糖尿病の9割は20歳以上で、発症時の平均年齢は30〜40代と、大人に多いという特徴もあります。
一方、1型糖尿病のなかでもっとも多いのは、急性発症1型糖尿病です。糖尿病の症状が出はじめてからおおよそ3か月以内にインスリンがまったく出ない状態に陥ります。そして、緩徐進行1型糖尿病は、半年から数年かけてインスリンを分泌する能力が低下していくタイプです。
そのため2型糖尿病と似ていますが、免疫細胞が膵臓の細胞を攻撃するときにできる自己抗体の有無を調べることで、緩徐進行1型糖尿病かどうかを診断することができます。なお、急激に発症する劇症1型糖尿病では、自己抗体は見られません。つまり、自己免疫性ではなく、原因不明の突発性の1型糖尿病なのです。
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