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認知症の前段階として、「軽度認知障害」というものがあります。これは、もの忘れや認知障害があっても、日常生活に支障をきたさないレベルのため、正常とも認知症ともいえない状態をさします。軽度認知障害の人の約半数は、5年以内に認知症に移行するといわれています。 裏を返せば、軽度認知障害の人でも、すぐに認知症になるとは限らないのです。
この段階から運動や生活習慣の改善など、適切な予防的活動を行うことで、認知症への移行を遅らすことができると考えられています。これまでより、もの忘れの回数がふえた、今日が何曜日だったのかを思いだすのに苦労する、怒りっぽくなった。
自発的に何かを行おうとする意欲が減退したといった自覚症状のあらわれは、軽度認知障害のサインかもしれません。このような変化に気づいた場合は、早めに専門の医療機関を受診し, 認知症を予防するために「今できること」をはじめましょう。
アルツハイマー病をひきおこす最大の原因は、「加齢」です。認知症の発症率は年をとるにつれてあがり、65歳以上では、年齢が5歳あがるごとに、発症率が2倍ずつ増加するといわれています。発症を早める危険因子は、日常生活のそこかしこに潜んでいます。
まず、転ぶ、ぶつかるなどで頭を強く打つと、発症が数年早まります。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった「生活習慣病」がアルツハイマー病のリスクを高めるというデータもあります。さらに喫煙者は、喫煙歴のない人にくらべて、2倍以上もアルツハイマー病になりやすいという調査結果もあります。
アルツハイマー病の発症を遅らせる予防法には、日々の運動があげられます。また、規則正しい食事も予防につながります。ビタミンEやビタミンC、βカロチンなどを多く含む野菜やくだもの、ドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸を多く含む青魚などをバランスよく食べるのがいいとされます。
飲酒は、毎日少量なら予防的にはたらきますが、過度な飲酒は反対にリスクを高めるため、要注意です。睡眠時間が長い人ほどアルツハイマー病の発症リスクが高いという報告があります。原因物質とされる「アミロイドβ」などの老廃物は、通常、睡眠中に「洗い流される」 から長すぎるのも問題です。
脳や脊髄には「脳脊髄液」とよばれる体液があります。 脳脊髄液は、脳の動脈の周囲にある通り道 (動脈周囲腔) を伝って脳内に入りこみ、老廃物を押し流しながら, 今度は静脈の周囲にある通り道(静脈周囲腔) を通って、脳の外へと運ばれます。
つまり、脳脊髄液は動脈周囲腔から静脈周囲腔へ移動する間に、脳の老廃物を洗い流しているのです。そして、この洗い流しは、寝ている間にさかんに行われることを示す研究結果が報告されています。
これが正しければ, 短時間しか眠っていない人は、脳の老廃物が十分に排除されずに蓄積し、アルツハイマー病のリスクが高まることになります。質の良い睡眠を保つには、毎日の生活リズムをしっかりと保つことが大切です。 また、就寝の2〜3時間前に運動や入浴をすると、入眠がスムーズになるともいわれています。
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