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定期的に職場や協会関係、自治体の健康診断を受けているという人も多いでしょう。ただ、心臓病を早期発見するには、それだけで十分とはいえません。生まれつき心臓にトラブルを抱えている先天性心疾患では、特徴的な心雑音を有することが多いため、健康診断でも発見されやすいといえます。
しかし、大人になってから発症する後天性の心臓病の多くは、もっと踏み込んだ検査をしないと早期発見できないのが現状です。とりわけ、早期の弁膜症、糖尿病による冠動脈疾患の多くは、病気が進行して症状が強くなるまでなかなか発見できません。
そこで、有効なのが「心臓ドック」です。一般的な健康診断では、心臓病にかかわる検査は心電図や胸部レントゲンくらいしか行われませんが、心臓ドックでは、もっと専門的な検査を受けることができます。
「心臓画像診断」(心臓CT、心臓MRI)、「心臓超音波検査」(心エコー)、「BNP検査」を含む血液検査の三つを受けておけば、病気かどうか、治療が必要かどうかを、まず間違いなく判断できるでしょう。
心臓CTでは、心筋の状態、弁の動き、冠動脈まではっきり映すことができます。心エコーは、心臓に超音波を発信して返ってくるエコーを再構築して、心臓の様子を画像に映し出す検査で、最近はカラー化と3次元描写でわかりやすく判別できるようになりました。
BNP検査は、血液検査でのチェック項目です。心臓に負荷がかかると心室から分泌されるBNP (脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンを測る検査で、その数値によって心臓病の有無や重症度がわかります。
ほかに、自転車をこぐ、ベルトコンベヤーの上を歩くといった運動をして、心電図を記録する運動負荷試験という検査もあります。安静時は異常がなくても、運動をして心臓に負担がかかったときに表れる心疾患を発見できるケースがあるので、できれば受けたほうがいい検査といえます。
ただし、患者にとって負担が大きいので、前述した三つの検査でも十分です。60〜66歳になったら、年に一度は検査を心臓ドックなどの心臓に特化した検査は、すでに胸痛や息切れといった軽い自覚症状が出ている人はもちろん、健康労働年齢である60〜60歳を越えたら、1年に1回程度のペースで定期的に受けることをお勧めします。
心臓の状態は高齢になると変化してくるので、病気を早期発見するためには、一般的な心電図検査だけではカバーできなくなってくるからです。ただ、予防のために受ける心臓ドックは健康保険が適用されないため、5〜10万円程度を自己負担しなければなりません。
それでも、定期的に心臓に特化した検査を受けて予防に努めておいたほうが、検査を受けずに病気になってしまったときにかかる費用を考えると、コストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。もちろん、検査を受けるだけで安心するのではなく、心臓病を予防するための生活習慣の改善も大切です。
心臓病につながる高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病などの危険因子をなくすために、カロリーの過剰摂取や偏食の改善、運動不足の解消、禁煙に努めてください。すでに心臓病と診断されている人は、運動が無理な負担になってしまうケースがあるので、その場合は主治医に相談しながら実施してください。
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