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新しい飛行機を生み出すには、素材、空力、強度、重量配分、配線など設計段階においてあらゆる面で緻密な計算を行い、模型による風洞試験なども実施した上でエンジニアが結果を評価しますが、最終的には実機での試験が不可欠です。
実際に、2009年に初飛行したボーイング787は、機体の強度が不足したり設計重量よりも超過してしまったりして、初期の製造機は設計時に予定した性能が発揮できませんでした。公式な発表はないものの、本来の性能を発揮できるようになったのは製造90機目以降と言われています。
旅客機製造の経験ならば世界一といってもいいボーイング社でさえ、机上の計算だけではうまく作れないのが航空機開発の難しさだといいます。飛行により各種データの収集と解析が行われますが、実機完成前にデータ解析ができればなお良いでしょう。
そして、戦闘機開発のデータを収集するため「魔改造」された旅客機があります。それがボーイング757の初号機です。同機は1982年に初飛行し、各種飛行試験を終了したのちは航空会社に引き渡されることなくボーイング社が所有したままFTB (フライング・テストベッド機)となりました。
そして、アメリカ軍と共同でF−22ラプター戦闘機のソフトウェアなどを開発するための試験機となり、大改造が施されることになったのです。機体最前方にはF−22のノーズ部分が、コクピット上部にはF−22の翼が取り付けられた757は、この珍妙な姿で飛行しながらデータの収集と解析を行いました。
それは、システムやソフトウェアのアップデートに役立てているのだということでした。F−22は現役のステルス戦闘機なので航空機は実機が完成した後も試験しています。詳しい情報は公表されていませんが、「魔改造旅客機」が軍用機開発に貢献している特筆すべき例といえるでしょう。
757はナローボディ機ながらワイドボディ機の767と姉妹機であるというユニークなコンセプトで設計されたことで知られていますが、2004年に1050機目の完成を最後に生産が終了しました。
今も多くの現役機が活躍している767とは対照的に、航空会社にデリバリーされた2号機以降の757は退役が進み、スクラップになってしまった機体が少なくありません。F−22開発用のFTBとなった初号機は現在保管中となっており、この先の運命は不透明ですが、博物館行きになるかもしれません。
ちなみに、ボーイング757と同様、姉妹機である767の初号機も軍の試験機として大改造されました。こちらは1981年に初飛行し、N767BAの登録記号で3年ほど試験飛行に供された後、当初の目的を完了しました。
1984年にエアボーン・サーベーランス・システム (空中警戒システム) を搭載するための試験機となりました。機体前方の上部にドームのような巨大なふくらみのある異様な外観となり、1990年代には横田基地へ飛来した実績もあります。
軍用機についての、収集したデータは早期警戒機のシステムなどへ、フィードバックされているでしょう。アメリカ陸軍が主体となって試験を実施しており、当然ながら詳細な情報は明らかになっていません。
この767初号機は、この外観のまま2006年にカリフォルニア州ビクタービル空港でスクラップになってしまいましたが、アメリカ軍や自衛隊で使用されている軍用型の767は今も製造が続けられており、その貢献は色褪せていません。
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